邪馬台国の時代にて、卑弥呼が1人のメッセンジャーと出会うところから物語は始まる。
卑弥呼の人間臭さとか、理解力の高さも含めて、物語にすんなりと引き込まれた。
メッセンジャーというのは人造知性体であり、ETと戦うために存在している。
そしてETというのは人類に大損害を与えるために送り込まれた敵性勢力である。
ということは割と冒頭の、26世紀の描写で明かされる。こういう分かりやすくてシンプルな構成は好ましい。
物語の主軸はあくまで邪馬台国でのETとの戦いなのだけど、随時、未来の話が挿入される。
未来の話は決して明るい話ではなく、敗走に次ぐ敗走。
ETとの戦いで劣勢に立たされたメッセンジャーは、その時間軸を捨てて過去に遡る、ということを繰り返していた。
そんな背景が徐々に明らかになっていくので、卑弥呼の時代での戦いの意味が、自分の中でどんどん重みを増していくのが分かった。
時間軸が枝分かれした結果、未来から見知らぬ仲間が参戦してくる展開は本当に熱かった。
これぞ時間戦争の妙!と言ったところ。
そして全メッセンジャーを統括するカッティを通じて、地球の各地での戦況が伝わってくるのも良かった。
時間という縦軸だけではなく、地域という横軸でも物語に広がりが生まれて楽しめた。
文句なしに傑作だった。時間戦争を扱ったSF小説として、自分の中で必読本入り。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF小説
- 感想投稿日 : 2019年7月10日
- 読了日 : 2019年7月10日
- 本棚登録日 : 2019年7月9日
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