書店で見つけて目を引かれた。書籍名は「行動学入門」。そして著者名はなんと「三島由紀夫」。
三島由紀夫が書く行動学の入門とは一体どんな本なのか、気になって買ってみた。
本書は3部から構成されているので、各論にて書評。
○行動学入門
表題作。正直言うと、ほぼ理解できなかった。
時代背景も違えば、思想背景も違うためなのか、書いてあることが頭に入ってこなかった…。
そんな状態なのに断定口調が多いので、圧倒的な置き去り感。
○おわりの美学
これこれ!こういうのが読みたかったんです。
当時の「女性自身」に連載されたというエッセイ。まさしくゲイが書くコラム、その元祖といった感じ。痛快ながらも、冴え渡る文章。読み物としてなかなか楽しめた。
特に「個性のおわり」が好みだった。
三島由紀夫が当時の世の中をどう見ていたのか、少し垣間見えたような気がした。
○革命哲学としての陽明学
またまた難しい感じ、だけど、表題作よりは親しめたと思う。
大塩平八郎を軸に、陽明学について論じる、というとお硬い感じだけど、確実に現代に通ずるものがあった。
「社会は肉体の安全を保証するが、魂の安全を保証しはしない。心の死ぬことを恐れず、肉体の死ぬことばかり恐れている人で日本中が占めらているならば、無事安泰であり平和である。しかし、そこに肉体の生死をものともせず、ただ心の死んでいくことを恐れる人があるからこそ、この社会には緊張が生じ、革新の意欲が底流することになるのである。」
なるほど。
「君たちはどう生きるか」のような、個人の生き方に関する根源的な問いを投げかけられたような読後感。
- 感想投稿日 : 2019年6月28日
- 読了日 : 2019年6月28日
- 本棚登録日 : 2019年6月28日
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