犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人

  • ハート出版 (2018年2月10日発売)
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チベットについて、自分は多くを知らない。「Free Tibet」という言葉を聞くに、どうやら中国から弾圧を受けていることは分かっていた。

2019年の香港の学生のデモを見て、ようやく日本も他人事ではないのだと思うに至った。今こそ、中国共産党について知る時だと思い、本書を読み進めていった。

果たして、タイトルに反して、本書の内容は手広い。チベットについて集中的に書かれているのは2章のみ。そこではチベットがいかにして中国共産党に取り込まれていったかが解説される。

それ以外の章では、筆者が日本とアジアのこれからについて憂慮し、取るべき未来を示してくれる。

筆者のペマ・ギャルポさんは戦後、難民として日本にやってきて帰化した。彼の目から見た日本を、本書を読むことで垣間見ることができる。その語り口はあまりにも暖かく、筆者が心から日本を愛していることが分かる。

本書のおかげでチベットが辿ってきた過去を把握することができた。さらには、中国共産党のこれまでについてもおさらいすることができる。また、戦勝国世界である現在において、アジアの連帯がどうあるべきかについても考えさせられた。

チベットについて知るつもりが、より大局的なアジア史観を教わった気分。かつての自分のような、アジア情勢について学びたい読者には強く薦めたい一冊。

(書評ブログも書いています。よければそちらも宜しくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%8F%B2%E8%A6%B3%E3%82%92%E5%9F%B9%E3%81%86_%E7%8A%A0%E7%89%B2%E8%80%85120%E4%B8%87%E4%BA%BA%E7%A5%96%E5%9B%BD%E3%82%92%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AB%E5%A5%AA%E3%82%8F%E3%82%8C

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治・社会・国際
感想投稿日 : 2020年3月10日
読了日 : 2020年3月10日
本棚登録日 : 2020年1月5日

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