はじめてわかる国語 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2006年2月16日発売)
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本棚登録 : 184
感想 : 21
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前半☆☆☆☆☆ 後半☆☆

中一の娘が夏休みの読書感想文の宿題でどの本にするか悩んでいたので、教科書に載っているおすすめの100冊ってのを見せてもらった。「バッテリー」、「さくらももこ」、「ボッコちゃん」が並ぶ中、「少年H」もあった。教科書会社の主張ってこういうところにこっそり入れるんだな〜「少年H」が間違いだらけであることはもうとっくにバレてんのにね。
その中にあったのが清水義範氏の「おもしろくても理科」。このシリーズ、何冊か読んだことがあっておもしろかった記憶があるので書店へ。「おもしろくても理科」は売り切れてて、この「はじめてわかる国語」と筒井康隆の「わたしのグランパ」(これも教科書にリストアップされてた)を購入した。
前半の国語教育のおかしさの指摘は本当におもしろい。著者の国語教育を揶揄した著作があろう事かテストに出題され、そして著者はそれを解けなかったというエピソードは誠におもしろい。昔、遠藤周作か北杜夫のエッセイで同様のを読んだ気はするが、これこそ国語教育のおかしさなのだ。
読書感想文には嫌な思い出がある。読書感想文なんてテクニックで、感動的な本を読んで、あらすじをまとめて主人公を自分に置き換えて、プラス思考の意見を書いて、自分の未来像でも書いておけばいいのだ。私は中学時代、その手法で読書感想文の宿題をこなしていた。するとある日、国語の先生が「この本で書いてみんか」と一冊の本を渡してきた。おそらく何らかの読書感想文コンクールにでも出すつもりだったのだろう。なんてタイトルの本かは忘れてしまったが、その本を読んで私は途方に暮れた。障害者の施設の話。今ならなんとでも書きようはあるのだろうが、当時の私のテクニックで読書感想文を書くとなると最後は「こういう人たちを助ける仕事をしたい」とても結ばないと終わらない気がしてしまったのだ。結局、先生に断りその読書感想文は書かずに終わった。
読書感想文なんて本当の感想を書けばいいのだ「おもしろくなかった」でもいいし、「きれいごとだと思った」でもいい。国語教育に道徳を持ち込むなと清水義範氏はいう。中学時代にこの本があれば、私の読書感想文ももっとおもしろい物になったのにと思った。
2001年のエッセイのため、ゆとり教育を喜んでいるのは差し引いても前半はおもしろい。
ただ、後半、「文章読本」の話からは私には興味がわかない内容でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2010年10月8日
読了日 : 2007年8月3日
本棚登録日 : 2010年10月6日

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