からくりアンモラル (ハヤカワ文庫 JA モ 3-2 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者 :
  • 早川書房 (2007年7月1日発売)
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本棚登録 : 276
感想 : 32
4

性愛SFというだけあってかなり直接的な性的表現が出てくるので苦手な人はいるかもしれないが、好きな人には深く刺さるであろう、独特な雰囲気を持った短編集だった。

「からくりアンモラル」☆☆☆
思春期を迎えた少女が自分を性的な目で見られることに嫌悪感を覚えるというのは物語でよく見る描写だが、そこからロボットを通して自分を見ることで愛のようなものを得るというのはおもしろい。

「あたしを愛したあたしたち」☆☆☆☆
思春期を迎えた少女が自分を性的な目で見られることに嫌悪感を覚えるという構造は「からくりアンモラル」と同じ。
過去・現在・未来の自分たちで互いに自分を慰めるというのは、一見ひねくれた自己愛のようだが、それがとても真っ直ぐなものに感じてしまう不思議。

「愛玩少年」☆☆☆☆
私にはマゾヒスティックな趣味はないので直接的な性的興奮を覚えることはなかった。
しかし、ラストシーンで唯一の理解者となりうる存在が奪われたときには何か変な高揚を覚えた。
とても残酷で悲しい出来事のはずなのに、Mのひととかいわゆる寝取られ趣味の人の気持ちが少しだけわかったような気がした。

「いなくなった猫の話」☆☆☆☆
私の好きなロマンティックSF。

「繰り返される初夜の物語」☆☆☆
無意味と知りながらロボットに恋して振り回される愚かな話。

「一卵性」☆☆☆
一卵性の双子を愛するというのはこれまた変わった自己愛か。

「レプリカント色ざんげ」☆☆
SFにありがちだが、変わった世界の出来事の紹介のような物語で、あまり登場人物の精神に触れた気がしなかった。

「ナルキッソスの娘」☆☆
美談のように書いているが、私はヒロシのような適当な男が苦手なので、感情移入できなかった。

「罪と罰、そして」☆☆
サディストの愛というのは、言わんとしていることはわかるのだが、私には理解しがたい感情だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月7日
読了日 : 2018年12月10日
本棚登録日 : 2020年10月7日

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