おれは最後に笑う サッカーが息づく12の物語

著者 :
  • 東邦出版 (2015年1月10日発売)
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感想 : 9
5

 主にNumber誌に掲載されたコラムを中心に採録した、日本とスペイン(あるいはイベリア半島)にまつわるサッカー選手たちのルポ集である。
 その多くがゼロ年代の記事であり、いま現在の記事ではなく、いま現在に繋がる過去の記事がほとんどであるため、そうした点では注意が必要かもしれない。シメオネ以前のアトレティコや、ビエルサを招聘する直前のビルバオなどについても書かれているところはむしろ興味深いが。
 サッカー関連の各誌を読みふける方にとっては目新しいわけではないと思うが、読まないような私にとっては非常に興味深い一冊だった。その当時の記事にあまり手を加えなかったそうだが、それは望ましいように思える。その時の空気がそのまま息づいているかのような、「今を生きている人々」の記事たちである。

 面白かった。一つ一つのルポの質が高いが、特に小宮さんのスペインに対する深い知見と、情味のある文章にはとても感心するところである。
 ザックを招聘した経緯を記した「ザックを探し当てた男たち」など、一般的に見ても価値のあるコラムが収録されているし、そうした汎用性も含めて星五つと評価したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サッカー本
感想投稿日 : 2015年6月10日
読了日 : 2015年6月10日
本棚登録日 : 2015年6月10日

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