花咲家の旅 (徳間文庫 む 9-5)

著者 :
  • 徳間書店 (2015年8月7日発売)
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8月7日の、「花の日」に、花咲家シリーズ3作目の『花咲家の旅』が発売されました。
早速買って帰り、読了。

花咲家の人々、それぞれの旅の話が6話、収められています。

第一話「浜辺にて」は、木太郎さん。
かつて、琴絵さんと訪れた海の街を、今度はひとりで旅します。
木太郎さんは、植物の声以外の不思議を、見たり聞いたりすることはできないけれど、多分、この旅は、琴絵さんも一緒だったんじゃないかな、と思います。

第二話「茸の家」は、猫の小雪の旅。
トラックの上に落っこちて、思いがけず遠くまで運ばれてしまった小雪。
凍えるような寒さの中、我が家を目指して必死に歩き続けます。
小雪が出会った猫又は、本来のものとは少し違う猫又でしたが、風早の街には、一生懸命修行をして、立派な妖怪になった猫たちがいるんですよね。
茸の家の優しいおばあちゃんと丸子が、少しでも長く一緒に過ごせますように。

第三話「潮騒浪漫」は、若き日の草太郎さんの大冒険。
北欧の海の昆布たちが、演歌のようにこぶしをきかせて歌うのが、何とも頼もしかったです。続く「鎮守の森」にしてもそうだけれど、草太郎さんが、りら子に、父として接しているのが伝わってきます。

第四話「鎮守の森」は、将来に悩む、りら子の旅。
今は、鎮守の森と溶け合ってしまった、遠い親戚の楠夫さんを訪ねます。
楠夫さんと会った後に立ち寄った、とある場所に飾られていた、向かい合わせの写真のところで、涙が止まりませんでした。

第五話「空を行く羽根」は、自身は旅をしないものの、旅をしてきた少女の為に尽力する、茉莉亜の話。
もしも将来、桂くんがお店を継ぐことになったりしたら、茉莉亜さんも旅立てるようになるのかなぁ。

第六話「Good Luck」は、旅人が行き交う空港に、唄子さんを出迎えにきた桂くんの話。
魔法を使いこなすうちに、辛いこともあるかもしれないけれど、桂くんならきっと、このまま健やかに成長してくれるにちがいありません。
すべてを諦めてしまっていた先生を再び動かしたのは、桂くん自身の持つ力ですもの。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年8月7日
読了日 : 2015年8月7日
本棚登録日 : 2015年8月7日

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