ミス・パワーズがグリーン・ノウを乗っ取るために、オールド・ノウ夫人に署名させようとしたところが、魔女というより老人をだます詐欺師のようだった。現代でもいくらでもある手口だけど、それは人間に入り込んだ魔女の仕業のよう。あんなにきびきびした夫人が催眠術のにかかってしまった時、≪自分が何をしてもしなくても問題じゃないみたいな気分でぼんやりしてしまった≫とあったけど、その後も舟あそびを続けた器に脱帽。
トーリーとピンが蛇のたまごを川に投げ込むところが一番気持ち悪かった。蛆虫、猫、蛇といろんなわざわいをキッズパワーがやっつけるところ、パワーズに乗り移った魔女の本当の名前を導くところ、魔女物語の王道だ。
p199≪日の入りは美しい夕やけだった。ゼラニューム色の空を沈んでいく太陽は、まさに大空にあかあかと燃える火そのものであった。その長い光の矢は、木ぎの枝を射ぬき、幹を照らし、れんがの塀をお祭りのように明るくし、つやつやした常緑樹の葉を日光のろうそくのようにした。あらゆるうやぶや花が身をもたげ、太陽の色をあびた。入り日はまた、家の中にもさいこみ、輝きでみたした。≫1962年初版本の抜粋
そんな情景描写がちりばめられている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
英児童文学
- 感想投稿日 : 2012年1月8日
- 読了日 : 2012年1月8日
- 本棚登録日 : 2012年1月8日
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