蟻の王(1)(少年チャンピオン・コミックス)

  • 秋田書店 (2015年12月18日発売)
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感想 : 11
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財界の大物が死に、跡目を継ぐ長兄・長女・次男に加え、隠し子である主人公・四郎。不良や悪人はそれを行う事に責任を持って暴力行為にも甘えや妥協を許さない最強の不良である。まあ理論としては辻褄は合っている(笑)単なる不良漫画にバカバカしい天下取りゲーム的な要素が加わっているのだが、三兄弟に加え、四郎も正に「キャラ」で、リアル感がないのが逆に娯楽として楽しめる。長男は恐らく暴君的にどこまでも自分が頂点に立つだけが目的の残虐な男で、長女は権力を嵩に自分の好きなアイドルを映画の主役に据える為には何でもすると言う欲望に正直な馬鹿者で、末っ子の次男は見た目「薄幸の美少年」でありながら極度の潔癖症で世間知らずの我儘坊やだろうな、と言う「キャラ」で落ち着くところが徹底して「娯楽」だな、と思える不良?極道?漫画。
暴力描写には手加減無し。なんだが、こう言う描写は「興業的」であり、例えば『高3限定』の肉体損壊描写、『東京喰種』の捕食や切断場面に比べると、どうしても「特殊効果」感が否めないので、昨今サブカル系の作品に含まれる暴力描写が若者の暴力衝動に…なんてこじ付けが成されているが、この漫画の暴力が「娯楽である」と理解出来ない人間には読ませない方がいいと思うが、読んでいて自分の身に置き換えて「痛み」が理解できる場合と、これは娯楽だなと判別が成される場合は一括りに「暴力描写あり・なし」と言う言い方をする方が間違っているのでは、と思う。絵面に暴力が描かれていても「痛さ」が描かれていれば暴力衝動を誘発する火種に直結はしないだろう。あくまでも読者個人の「共感力」の有無が問題なのであって作品自体にはそんな効果はないんじゃないか?痛みが分からない人間が見れば「残酷描写」になり、作品が拍車をかけた、となるんだろうけども。暴力描写と一括りに言っても、描く方がエンターティメントのアクションとして描いてるか、痛みを伝えたいのか読み分ける能力がないとな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 青年漫画
感想投稿日 : 2016年5月28日
読了日 : 2016年5月28日
本棚登録日 : 2016年5月28日

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