健常者は自分の健常者たる部分が失われていくかもと考えるのは加齢の一定年齢を超えてからだろう。健常者ではない、と言う事の中にも段階があり、それが落ちていくことで何を失うかを現実として突きつけられながら生きている描写が物凄く解った。他者がうざいと考えていた思春期に「目が見えなくなる・耳が聴こえなくなる・口がきけなくなる」のどれか選択することで他者と強制的に関わらずに済むようになるには「口がきけなくなる」を選択する、とか想像したことあるが(正に中二病)目が見えないと本読めない、耳が聴こえないと音楽も聴けない。
たった一人の人の声が聴こえなくなる恐怖心、まだこれ以上に諦めなければならないのかと言う絶望感、難聴と言うものが自分の身に起きてから、諦め続けて諦観の念から不愛想・無口になってしまった航平にとって、初めて「諦めたくない」と思う存在が太一で、諦めたくない気持ちが凝縮されている涙の描写が…堪らなかった。
悪意のない他者ほど怖いものはない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
BL
- 感想投稿日 : 2014年12月19日
- 読了日 : 2014年12月19日
- 本棚登録日 : 2014年12月1日
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