夜はともだち (POE BACKS Babyコミックス)

著者 :
  • ふゅーじょんぷろだくと (2014年11月22日発売)
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本棚登録 : 894
感想 : 45
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これ読めるくらいだからだいぶ回復しとるだろうwww あと、明らかに自分の中でBLを読んでいる、と言う意識が喪失しているのに気付いた。人間関係の話、と言う視点で読んでいる。BL的萌えだけ・勢いだけ・設定だけの作品はもう読めん。と言う基準で必要な本と必要じゃない本が分けられると思う。
生まれ持った性癖が虐げられて痛めつけられて快楽を得る、と言う事はどう言う事だろう。これは殆どの人間にとって難題だと言えるだろう。好きになった人間がそう言う性癖を持っていた場合、どういう風に接することが出来るだろう。飛田が気になって見ていた真澄は、若さでそこへ入ってみることが出来たが、自分にないもの(虐げる役回り)を飛田の為にひねり出すのは苦痛でしかなかったに違いない。
普通に愛したいと思っても、飛田の肉体はそれでは喜びを得られない。遊びと称して、プレイと割り切って役目を担う事は出来ても、それはやはり「強いられたもの」であり、飛田のそれとは次元が違うのだ。
飛田は自分の性癖に原因やトラウマが無い為に、諦観して「乞う」事しかできない。乞う相手がいる限り、飛田は肉体の喜びは得る事は出来るが、「愛」を学ぶことはできない。性的に興奮できれば心なんかいいや、と達観していたかもしれない、飛田は。
きたいとか痛くして欲しいとか微塵も考えた事ない人間が読むと、やっぱどうしても普通の交わりで幸せと思えるようになればいいのに、と考えながら読んでしまう訳だが、その時点でもう、飛田くんの様な人間を根本的に理解する能力がない、って事なんだよね。でもそれは、飛田主体で考えた場合で、性癖を武器に相手に強いているだけではダメだ。自分の性癖に十二分に応えてくれて、尚且つ愛してくれる人間がもしかしたら現れるかもしれないが、目の前にいる人間(真澄)をないがしろにして得られるものじゃない。自分はこうだから、で済ませるだけでは相手に失礼だろ、って思ったんだよな。許容して貰う価値が自分にはあるとか、そう言う話ではない。心があげる悲鳴や痛さが如何に肉体を支配するか。精神の高揚を肉体の高揚といっしょくたにしちゃならんのかもな。肉体と心は密接に結びついているもんだけども、心の安定が如何に肉体の不具合を矯正できるか、と言うのを実感している身だから、そう言う方向から考えると、人間は心が求めているモノの方を最期には優先させなければ破滅に向かうよ、と思うんだよね。
飛田くんが「さみしくて」って言葉に出せて本当に良かったなぁ…って思うよ…寂しいや悲しいや心細い気持ちは肉体が発しているのではない、と気付けて良かったなぁ…飛田。
ぶっちゃけると、肉体が火照るんだ…疼いてしょうがないんだ…で真澄が折れてたら興ざめしてた。中毒者の気づきに似てると思ったのは、飛田の寂しいは特殊性癖を霧散させるくらいの「さみしい」だったんじゃないか、って思ったんだよ。心が満たされたら中毒は克服できるかもしれんって思ったんだよな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 手放した
感想投稿日 : 2015年3月13日
読了日 : 2015年3月13日
本棚登録日 : 2014年12月1日

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