なれる!SE (5) ステップ・バイ・ステップ?カスタマーエンジニア (電撃文庫)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス (2011年9月10日発売)
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感想 : 63

このシリーズもいつの間にか第5弾。工兵くんがブラック会社(?)スルガシステムに就職してから半年が過ぎた。最初はネットワークの知識どころかコンピュータの知識もシロウトさん並だった彼が、この半年でプロジェクト・マネージャーまでやりとげたのは第4弾でのこと。さて今回は…?

冒頭で工兵の上司である藤崎さんがお酒を飲んでくだを巻くシーンが。SEとして長生きするコツとは何かについて語る。答えは「仕事を探さない」ことだと。「?」と思ったけれど、読んでいくと思い当たるんだなぁ、これが(苦笑)。
例えば、一つの業務の区切りが付いたとする。もう家に帰っても構わないワケだ。けれど、やるべきことが終わったということで少し気持ちに余裕が出てきて、「あ、これこういう風にしたほうがいいんじゃない?」とか「あぁ、ここもう少し突っこんでおこうかな」とかいろいろ手を出しちゃう。そうこうしているうちに、だ。休む間もなく次の締め切りがやって来る。あるよなぁ、余計なことを考えずに家に帰って休めばいいのにって第三者的に目線に立てば思うんだけど。

さて、前作でプロジェクト・マネージャーとなったのは述べたとおり。その仕事がやっと終わった工兵くん。木曜日の午前中で終わって、午後からは帰宅OKと立華ちゃんの了解も得ていた。そして金曜日からは夢の3連休♪
でもねぇ、そんな上手くいくはずが無いのがこのシリーズ。
さっさと帰ればよかったのよ。だけど、メール確認したのが運のつき。顧客からのメールを見つけて、たいして時間もかからないだろうとその対応に取りかかってしまった。気付いたら定時。大丈夫だ、今日は久々に家で夕食とるんだと言い聞かせつつ、手を早めても気付いたら22時。これはヤバイ!と急いで帰ろうとしたその時。顧客先から帰社した立華が現れた。それも超不機嫌な状態で。はい、「The End」(笑)。夢の三連休は露と消え、3日間の西日本地獄ツアーの招待状が工兵の手に。

ま、無茶なスケジュールの案件を拾ってきたのは相変わらずスルガシステムの六本木社長なんだけど。立華は東日本を周り、工兵は西日本を周る。作業自体はそれほど複雑ではなく、各現場でネットワーク機器設置し、稼働を確認するというもの。けれど、その設置場所が日本各地に散らばっていて、それを3日間でこなすという。初めての出張らしい出張だけれど、ゆっくり地方の味を楽しむこともできないってことだ。

普通なら現場に届いている各種設定済みの機器を設置して、電源を入れて、稼働確認するのみだからサクサクっと終わるように感じる。が。そんな上手くいくもんじゃないのさ。こんな無茶なスケジュールを組んじゃうような会社から請け負った仕事。トラブルが無いわけがない。出てくる、出てくる、次から次へと。それはそれは面白いようにハプニングだらけ。現場で顧客に睨まれながらの対応にうんざりする工兵くん。

プロジェクト・マネージャーという上流作業を終えたばかりの工兵にとって、現場での機器設置を自分がするというのは不満もあったようだ。「なんで俺がやらなきゃいけないんだ」と。けれど、その気持ちが誤りだと立華と梢に諭される。現場作業の大切さ、仕事に上下関係なんてことは無いということを、工兵は教えられる。

今回は工兵くんの家族が登場。ハプニング続きの結果として、立華ちゃんを静岡の実家に泊めることになってしまったのだ。父、母、妹。みんな普通じゃない雰囲気が漂ってるなぁ。もしかしたら、このシリーズでまともな感覚を持っているのは工兵くんだけ? あぁ、それも怪しい(笑)。
そこで、妹の誉ちゃんが立華ちゃんとプライベートな会話を交わしたらしい。立華ちゃんの隠れた部分がまた少し見えてくる。彼女がなぜこれほどまでに常識から外れた女性になったのか…。でも、もう少し知りたいなぁ。次はもっと明らかになるかな。

現場作業の喜びを知った工兵くん。またまた成長したね。
次はどんな炎上シーンが見られるのかなぁ(笑)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 夏海公司
感想投稿日 : 2011年11月12日
読了日 : 2011年11月12日
本棚登録日 : 2011年9月12日

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