カルブラートル(原子炉)から発生する副産物ー絶対(神、真理)ーのために翻弄される人間の性を喜劇風に描いた作品。
原子力とそこから発生する副産物と聞いて平常な心持ちではいられないが、この作品においてこの科学と文明の問題は伏線にすぎない。
大きなテーマは誰もがそれぞれの真理を持ち、そして他人が自らの真理を信じたりはしてくれないという事実に対して私たちは寛容にならなければならない、ということだ。
確かにこのテーマをまとめるには、構想が十分でなく、展開もめまぐるしいという感じは否めなかったが、チャペックの心は十分に伝わってきた。
この作品が上梓されてから1世紀弱もの月日が経とうとしているが、私たちはいまだにこの手の不寛容さから逃れられてはいないのだから。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年4月6日
- 読了日 : 2012年4月5日
- 本棚登録日 : 2012年4月5日
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