葬られた勲章(下) (講談社文庫)

  • 講談社 (2020年8月12日発売)
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感想 : 14
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ジャック・リーチャー・シリーズ13作目。日本では昨年出版されたが、原作は2009年に出たもの。
地下鉄内で目の前で自殺したスーザン・マークという女が何をしようとしたのか、たまたま居合わせたジャック・リーチャーが調査する話。ジョン・サンソムというデルタフォース出身の下院議員が何か知っているのか、謎めいた美女ライラ・ホスはどういう役回りなのか、命を危険にさらしながら、スーザン・マークに対する罪悪感に駆られ(?)、リーチャーは捜査を続ける。アフガニスタンでの米国の何らかの秘密を隠蔽しよう、あるいは公にしようという勢力の暗闘の様相を表してくる。オサマ・ビン・ラディンへの当時の米国人の恐怖のようなものも垣間見える。激しいアクションと解けない謎、エンターテインメント小説として十分楽しめた。
現実世界では、9.11は2001年。米軍のアフガニスタン侵攻も同年。それによってタリバンの勢力は一時衰えたが、2003年のイラク侵攻に手を取られるに連れ、タリバンは復活。2009年オバマがアフガニスタンへの増派を決め、戦闘は激化する。原作が出版された時点では、オサマ・ビン・ラディンは健在(殺害成功は2012年)だった。(この辺りの経緯は、『イラク・アフガン戦争の真実 ゲーツ元国防長官回顧録』に詳しい。)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2021年6月20日
読了日 : 2021年6月20日
本棚登録日 : 2021年6月17日

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