福島の原発事故をめぐって―― いくつか学び考えたこと

著者 :
  • みすず書房 (2011年8月25日発売)
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本棚登録 : 296
感想 : 47
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福島の原発の災害をどうして招くことになったのか、その淵源を原子力爆弾の開発、さらには産業革命以前にまでさかのぼるなどさすがの一言につきる。ただここで書かれていることに賛成もするのだが、原子力推進派にはなかなか届かない言説になっている。
これは山本氏に限らず反原発、脱検発の言い分が原発推進者にとどかないのと同じなのである。
だからと言ってこの本の価値が減じることはない。この本の言い分が届かないという現状から出発しないと何もかわらないことが本当に日本人が考えるべきことなのである。
産業界が力をもちすぎたことが 一つの悪夢の始まりだが、産業界に距離をおくひとに産業界の歯車をとめる力は生まれない。
省エネを叫んでも、エネルギー消費社会の舞台からそでに身をひくだけで
舞台ではあいかわらず乱痴気騒ぎ。
そして客席からいかにやじっても舞台は舞台ですすむ。
論理的か、実証的な、説得的かも関係がない。

放射性廃棄物の廃棄場所も、原発作業者の疾病も、福島の人の移住も関心のない人にはぜひ読んでほしい。

難しいことを優しく書いているので 読みとばし危険です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 原子力災害
感想投稿日 : 2012年4月23日
読了日 : 2012年4月23日
本棚登録日 : 2012年4月23日

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