今はもうこの世に存在しない父からの呪縛。
亡き父の遺言で実家の屋敷の整理をしながら、幼い頃の記憶に苛まれる明日香。
あの屋敷の中で自分の存在を認められたくて仕方がなかった、途方もなくささやかな願い。
彩瀬さんの描く明日香の「愛」はなんてハードなのだろう。
炎のように身体中に激しく燃え広がり愛しい人を縛り付ける。
そして一度広がった愛の炎は止めることが出来ず相手も自分自身も苦しめる。
苦しみもがき迷った末に、自分を見失っていた明日香がようやく自分を取り戻した先にある「きれいな景色」は、夕焼け色に染まった空。
幼い頃からの呪縛を解いて造り上げた居場所は、明日香なりの慈愛に満ちた「愛」ある場所だと思った。
苦しい、難しい。また間違えるかもしれない。だけどずっと、続けていく。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
彩瀬まる
- 感想投稿日 : 2018年8月2日
- 読了日 : 2018年8月2日
- 本棚登録日 : 2018年7月31日
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