人生で行き詰まった時、避難できる場所があるととても助かる。がんじがらめになった自分を温かく受け入れてくれる。それだけで心から安堵できる。
しかも景色も良くて食べ物も美味しくて、一緒に暮らす人達もいい人達ばかり。
そんな居心地の良い場所があれば、もう言うことはない。
トラブルを抱えた人達が夜逃げ同然に駆け込んだ先で、ひっそりと穏やかに住まいと時間をシェアする共同生活。
それぞれの悩みも取り敢えずは脇に置いて、互いに束縛することなく楽しく暮らす。
けれど、それはあくまでも一時避難でしかない。
いくら居心地が良くても、どんなに楽しくても、長く居着くことはない。長くは続かない。
束の間の長期休暇を終えると、帰るべき場所へ戻っていく者もいれば新天地へと旅立つ者もいる。
休暇っていずれ終わりが来るから休暇なんだな。
終わりが来ないと、それは日常生活になってしまって、楽しめる場ではなくなってしまう。
「いつでも戻っておいで」
そう言って自分を温かく迎え入れてくれる人がいることの心強さ。
日常に疲れてまた現実逃避したくなったら、いつでも戻れる場所がある。そんな居場所を持っていることは、日常を生きる上での励みになるはずだ。
夢のようなひと時とは、あくまでも夢であって現実ではない。
それにしても、男性ってロマンチストなのね…。一時の感情に走れる生き物なんだ。
女性の方がよっぽど冷静に現実的に物事を捉えている…まぁそれもちょっと淋しいけれどね。
フィリピン人のマリー・ジョイがいい味出していて、最後まで楽しませてくれて物語全体を救ってくれた感じ。
かおるさんはマリー・ジョイの読み通り、いつか虹サンの元へ戻ってくるかな。
- 感想投稿日 : 2021年3月27日
- 読了日 : 2021年3月26日
- 本棚登録日 : 2021年3月23日
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