コミュ障、睡眠障害、拒食症、依存症等、ワケあり難あり、劣等感の塊の女子大生10名。
卒業単位の足りないダメダメな彼女達は、閉校決定の女子大を無事卒業するため、特別補講という名の軟禁生活を強いられた。
花の女子大生とは決して言い難い彼女達の家庭環境を知ると、苦い思いでいっぱいになる。
そんな彼女達をさり気なく見守り、自分で自分を守る術を学習させようとする理事長達の真心に心打たれた。
自分を許す。
これはストレス社会に生きる我々にも生き抜くヒントとなる。
ラストの、理事長の心のこもった餞の言葉には泣けた。
「もう、駄目だ、耐えられないと思った時、自分の足で逃げられる力を、今のうちに育てて下さい。そして、自分の言葉で、直接『助けて』と言える人を探して下さい。我と我が身を救うための、知恵と勇気を身につけて下さい」
たった半年間の特別補講だったけれど、卒業に必要な単位とともに得た経験は、社会という大海原へと旅立つヨチヨチ歩きのひよっこ達を導く羅針盤となる。
この羅針盤を心に刻めば、今後道に迷い方角を見失ったしても大丈夫。
「あなたは素晴らしい」
最後に捧げられた花言葉を卒業生達は決して忘れないだろう。
卒業シーズンに読めて良かった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
加納朋子
- 感想投稿日 : 2021年2月11日
- 読了日 : 2021年2月11日
- 本棚登録日 : 2021年2月8日
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