木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫 お 42-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2010年11月10日発売)
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3

別離を決意した男と女。
共に暮らしたアパートを、翌朝にはそれぞれ出ていく。
女は女友達の家へ。
男は新しい彼女が待つ家へ。
引っ越し作業も終わり、共に過ごす最後の一夜の物語。
猜疑心が渦巻く中、男と女の駆け引きが繰り広げられる。
"あの男"を手に掛けたのはこの人ではないのか、と。

恩田陸さんだから、単純な男女の別離にはならないだろう、とは思っていたけれど、案の定見事に複雑な絡まり方。
話の展開も二転三転四転五転…。
このままこの二人はどうなることやら、と気をもんだ。
どちらも一歩も引こうとしないから、読んでいて息苦しいったらない。
あーあ、男と女って面倒くさい。

夜はとかく感傷的になりやすい、と言う。
別離する予定の相手とは真夜中に話し合わない方が賢明だ。
絶望の夜が明ければ、誰にも等しく朝が来る。
木漏れ日がこんなにも眩しく思えた朝は今までなかったことだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恩田陸
感想投稿日 : 2020年8月31日
読了日 : 2020年8月31日
本棚登録日 : 2020年8月30日

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