子供の頃によく大人から読み聞かせをしてもらった昔噺。
やがて私自身も親となり娘達に絵本の読み聞かせはしたけれど、そういえば昔噺はあまりしたことがないかも。
宵っ張りの子狐にせがまれて、眠る前に昔噺を優しく語る「草どん」。
初めは面倒くさがっていた「草どん」もいつしか楽しみになっていた。
いつからここにおるのか、何故草の姿をしているのか、己のことは何一つ思い出せないままなのに、何故か数多の物語は溢れ出てくる。
「おらたちの話を、もう誰も聞きたがらない。忘れてゆくばかりなんだ」
昔噺に登場する狐や狸、兎、亀達の嘆きの声が胸を抉る。
聴き手がいてこその語り手。
両者を繋ぐ「物語」の存在意義について考えさせられた。
現実しか見ようとしない想像力も乏しくなってしまった現代を生きる若者達への警告のような物語だった。
未来に残すため、語り伝えていかなければならない「物語」は沢山ある。
我々大人達の果たすべき使命の一つだと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
朝井まかて
- 感想投稿日 : 2018年3月31日
- 読了日 : 2018年3月31日
- 本棚登録日 : 2018年3月29日
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