心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる (ブルーバックス)

  • 講談社 (1999年4月20日発売)
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感想 : 21
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ブラックホールの理論でノーベル物理学賞を受賞した数理物理学者ペンローズの著書。
この本は、ブラックホール理論とは全く異なり、「心を科学的にきちんと理解するためには、物理学の大革命がどうしても必要なのです」という著者の言葉の通りの内容。
『人の心は特別なもので、人工知能からは心は生まれない。何故なら、心は「量子」と深く関係していて、「量子重量理論」が完成しない限り人工的に心や意識を作ることは不可能である』(竹内薫のwebマガジンより引用)と述べている。

以下その説明。
・物理学には、マクロ(宇宙や日常の物の動き)の世界で用いられる一般相対論(古典物理学の1つ。重力場理論とも呼ばれる)とミクロ(量子など)の世界で用いる量子力学論(量子場の理論)が存在する。ミクロの世界とマクロの世界で用いることのできる式が全く異なる。
・この2つを同時に説明する理論は確立されていない。(ニュートン理論などが一部だけ共通するのみ)ペンローズは量子論に重力場の考え方を含めた量子重力論の確立が必要と考えている。
・人の意識を理解するには量子論が不可欠。しかし、現状量子論で理解が進んでいないのは、計算できていない要素があるからなのではないか。量子重力論があれば計算できるのではないか。
・量子重量理論が適応できそうな場所としてマイクロチューブルが挙げられる。すでにマイクロチューブルが神経反応に関係していることは証明されている。

かなり難解。物理の知識がないと深い理解はできないけど大筋は理解できたかな。。。人間の理解に物理学の視点が必要というのは言われて見れば当然なのだけど盲点で衝撃的な内容だった。(現状あまり推奨される理論ではないみたいだけど、、、)より広い視点で人間を考える気づきになったし、物理学を勉強し直す機会になって良かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年5月14日
読了日 : 2021年5月13日
本棚登録日 : 2021年5月13日

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