叛逆航路」シリーズ完結編。
前作で明らかになった巨大な陰謀。それは最強国家プレスジャーとの間で結ばれた停戦合意が破棄されるほど危険な行為だった。
プレスジャーはとても強い。ということをなんとなく匂わせてくるが、どれくらい強いのか、どんな宇宙人なのか、は実はよくわからない。無敵の皇帝アマーンダを倒せる唯一の武器を造れるほどの科学力なので、皇帝もプレスジャーのことを最も恐れている。まともに戦えば100%負けるいうことは過去の戦いから明らかだったから、停戦条約を結んだのだけれど、プレスジャーがなんでその申し出に乗っかったのかは実はわからない。価値判断の基準がそもそも違うようだ。まあ宇宙人だから、地球人の読者には想像もできない理由なのだろう。
そのよくわからないプレスジャーから派遣された通訳が、これまた奇妙な人(借り物の体なのでプレスジャーの姿ではない)で、話が通じてるんだかないんだか、わからなくて面白い。一貫してシリアスな物語の中で、この通訳だけ異質でトリックスター的な活躍をする。筒井康隆の短編でもこんな感じの異星人同士で言語での意思の疎通が難しい、みたいな話があったな、と思い出した。この通訳を主人公にしてスピンオフ書いて欲しいってくらい面白い。
ラストは華々しくラドチ(皇帝アマーンダが支配する星間国家)とプレスジャーの宇宙全面戦争か!?と期待したが、そうはならず。
まあ、この結末もありだけど。プレスジャーのことが気になってしょうがない。
このシリーズとは別の作品も刊行が始まっているようだけど、同じ世界観なのかな?
また読んでみよう。
- 感想投稿日 : 2021年10月26日
- 読了日 : 2021年9月23日
- 本棚登録日 : 2021年9月23日
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