動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2001年11月20日発売)
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本棚登録 : 3917
感想 : 304
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東さんが自分の中でトレンドになりつつあるので、初期の代表作を手に取る。90年代のオタクの閉塞的な空気と何となくネガティブな印象とポストモダン的な社会を結びつけて論じられている。人間関係の希薄さがとやかく騒がれてた時代の雰囲気をおおよそマッチしてるかな。

2023年のオタクはどうなのか、結構オタクの障壁はだいぶ優しくなって日本人の大部分がオタク的要素は持ち合わせているのではないでしょうか。しかし、90年代とは違いもっとライトな日常生活に溶け込んだ印象を受けます。昨今の小さい物語消費への動物的消費傾向は続いていると思うし、インターネットやSNSによる拡散効果でその餌食となる人数が昔に比べてはるかに多いように感じる。あとは、データーベース構造からのシュミラークルなんてものは、今はYouTube台頭の時代もあってそういった作品群が溢れかえっている。そこには〈萌え要素〉の流用による動物的消費の過剰摂取が見て取れる。

筆者の主張は現代加速している面と、より広範な人々が対象になっていてもはや気にもしないレベルに浸透しているのでは、そこには少なからず危惧すべき点があるのではと悶々としちゃう。

擬似社会でのいつでも降りられる関係性における社会性をオタクは築いており、本来の社会的な営みには参加していないといった主旨があるかと受け取ったが、それこそツイッターやらLINEやらの似非社会であったものが本当の社会生活で大きなウェイトを占めはじめて久しいし、この点では次のステージに移行してる感もある。

少し前の作品ですが、だからこそ当時の社会のあり方、現代のあり方を比べながら読み進めてみると今読んでも中々刺激的だなと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2023年4月26日
読了日 : 2023年4月26日
本棚登録日 : 2023年3月26日

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