山躁賦 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社 (2006年9月9日発売)
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本棚登録 : 120
感想 : 7
5

迷路、しかも靄のたちこめた中を徘徊するような感覚でした。もちろん快楽原則にそくした徘徊なのですが、それは不安を迫り出させる徘徊でもある。一種、ゲシュタルト崩壊をいざなう、この文体が、確固と属していた世界から離解させるような効果を持っているように思いました。かつ、ニヒリスティックな質感を湛えた視点により、二重の意味で不安定化するのだが、それが素晴らしい酩酊であるという、宜しき小説体験でした。そう、素晴らしいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年5月7日
読了日 : 2023年5月7日
本棚登録日 : 2023年5月7日

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