そもそも島に進化あり (新潮文庫 か 84-3)

著者 :
  • 新潮社 (2023年6月26日発売)
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感想 : 12
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某公共放送の配信を好んで観ているせいだろうか。
著者のイメージは鳥類学者というより「なんか島でわちゃわちゃ調査している学者先生」である。
バード川上ではなく、アイランド川上。
某公共放送番組で、東京都内の秘境・南硫黄島や西之島でわちゃわちゃ鳥やらなんやらを調査している氏のイメージが強いこともあって、前作(恐竜)前々作(本職鳥類)よりもこちらの本の内容がしっくりきた。
(映像ものでは某公共放送『東京ロストワールド』、西之島関連番組をオススメします、川上先生がすごく楽しそうに調査してる姿を観察できます)

前二作同様、アニメ特撮映画を多用した読みやすい語り口は変わらず。
その口調で、より踏み込んだ鳥類や島嶼という環境についての知識が語られ、前作でも触れられた外来種の脅威・駆除も扱われている。
島嶼生態系の複雑な成立と進化をメインに語ってきているため、そこに入り込む外来種の脅威・人間の影響は前作よりも深刻に深く考えさせられる。
「島では生き物が独自の進化を遂げている」という簡単な説明でなんとなく深く考えずに納得していたところを、そう簡単な話ではないよ、と語られるところは、自分の理解が表層的だったことを痛感させれた。
学問って、こういうことなんだよなぁ…無自覚にわかったつもりになっていることを教えられる・目を覚まされる体験はすごく楽しい!
読みやすい(ちょっとオタク的親近感のある)文章だからというのもあるだろうか。
某公共放送でも何度か扱われる西之島がいかに貴重かというのも本書でよくわかった。まさに理想的なオノゴロ島。
これから、西之島についての話題や研究を見聞きするのが楽しみだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月9日
読了日 : 2023年8月9日
本棚登録日 : 2023年7月1日

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