さっちゃんは、なぜ死んだのか?

著者 :
  • 講談社 (2022年11月9日発売)
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‪「痩せました?」は魔法の言葉だ。この言葉ひとつで、大概の女性は緊張をほぐし、満面の笑みになる‪(P.12)
店員が、ニコリと笑う。
が、その目はどこか冷めている。
その冷たさに、沙知は身を竦めた。(P.15)
この年頃の女の子の無邪気さに勝てるやつなんて、この世にいない。(P.23)
まるで、自分の中に、もう一人自分がいるような感覚だった。そのもう一人の自分が、自分の後ろに回り、二人羽織のごとく自分を操っている。それとも、もう一人の自分こそが、本当の自分なのだろうか。自分が封印した、本物なのだろうか。(P.128)
「嘘は、一概に悪いと言い切れない。嘘で救われる人もいる。‪"恨み"もそうよ。恨みの対象を具体化することであなたが救われるというなら、私は止めない。(P.159)」
例えば、女はなぜ自身の"姿"に拘るのか。それはずっと選ばれる立場だったからだ。より条件のいい男に選ばれるためには、より艶かしい姿で男を誘わなければならない。
例えば、女はなぜ"妄"をつくのか。それは、ずっと男をつなぎ止めることだけを考えてきたからだ。男の気を引くために、ときには死んだ振りもする。
例えば、女はなぜ"妬む"のか。それは、ずっと男の移り気に悩まされてきたからだ。自分が捨てられる前に、"石"でライバルを打ちのめす。
例えば、女はなぜ"母"になりたがるのか。それは"奴隷"の立場から抜け出せるたったひとつの道だからだ。(P.186)
そうか。猫には"今"しかないのか。人間もそうだったらなんと楽だったか。
過去の後悔に引きずられ、未来の不安に囚われて。どちらも、幻影のようなものなのに。(P.203)
「そうですね。世の中、結局は不真面目な人のほうが成功するようにできているのかもしれません」(P.235)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年8月24日
読了日 : 2023年8月23日
本棚登録日 : 2023年8月13日

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