メイキング・オブ・勉強の哲学

著者 :
  • 文藝春秋 (2018年1月26日発売)
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『メイキング・オブ・勉強の哲学』千葉雅也 文藝春愁・2018.1

前書『勉強の哲学』がいかにつくられたかをまとめた書。また質疑応答の内容も文章化している。

第1章 なぜ勉強を語るのか 東大駒場講演
2017年5月

博論が学術書としてだけでなく一般書的にも読まれるという出版状況は『動きすぎてはいけない』より少し前の世代から始まった。
その代表は1998年出版の東浩紀『存在論的、郵便的』
千葉が哲学の道を志す重要なきっかけ。千葉世代の大学院生にとって東は憧れのモデルだった。
千葉の2冊目の書籍『別の仕方で』を出版。過去のtweetを配列した本。書き方を実験することに興味がある。

今回の『勉強の哲学』はそんな欲望を形にしたもの。インテリはたいてい自己啓発本をバカにするもの。
でもなぜそういうものが人を惹きつけるか精神分析的に考えても深い問題です。
千葉は自己啓発とはなにかという距離をとった問題意識をもっている。

一般に世の中には勉強フォビア(恐怖症)がある。勉強とはシステムや空気を分析して、それに捕らえられない自分の生き方を開くためにやるべき。
ドゥルーズ&ガタリの言葉なら逃走線を引くこと

千葉を変身させた大学時代の授業。勉強を深めると究極の根拠を求めてアイロニー追求型に陥る。アイロニーからユーモアへ折り返すターンが大切。

勉強のテクニック1 自分なりのメタゲームを作る。教養的に物事に関わるとは社会学・物理学・哲学も勉強する
ジャンル横断的につまみ食いをする。複数性を貫く総合的な視点を持つことが必要。千葉はそれをメタゲームと名付ける。
千葉は「無意味」がどのように扱われるかに注目するメタゲームをやっている。
誰かが作ったゲームの上で競争するだけの人生は疲れる。自分なりのメタゲームを作れば誰もその分野では勝てなくなる。

勉強のテクニック2 語学をやろう
語学において重要なのは言葉の歴史です。
言葉=概念には現代語の用法からは見えないようなねじれた階層がある。
国分功一郎『中動態の世界』という本では、言語を支配する能動態と受動態、そこからアプローチできない中動態の在り方について考えている本。
いまは失われた中動態の歴史をたどることで古代ギリシャ人の考えを復元する。
現代の我々は現代語のシステムの範囲内でしか思考できない。この本は語学を学ぶことが思考の拡張であることを示す。
https://www.amazon.co.jp/中動態の世界-意志と責任の考古学-シリーズ-ケアをひらく-國分功一郎/dp/4260031570/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1JYE6JQ54VIWT&keywords=%E4%B8%AD%E5%8B%95%E4%BD%93%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C&qid=1578562164&sprefix=%E3%81%A1%E3%82%85%E3%81%86%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%9F%E3%81%84%2Caps%2C266&sr=8-1

Q:メタゲームを作るうえで、とりあえずの仮固定をどこに定めればいいか
A:とりあえず既存の分野からそれを立ち上げる。ベストな選択はない。保守的なアドバイスをするなら古典的な研究をすると応用が効く。

Q:ラカンや精神分析の勉強をどういった書籍から始めるべきか
斎藤環『生き延びるためのラカン』を読めばいいでしょう。
https://www.amazon.co.jp/生き延びるためのラカン-ちくま文庫-斎藤-環/dp/4480429115/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E7%94%9F%E3%81%8D%E5%BB%B6%E3%81%B3%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%82%AB%E3%83%B3&qid=1578564337&sr=8-1

第2章 メイキングオブ勉強の哲学
千葉は3種類のノートを並行的に使っている。手書き・エバーノート・アウトライナー

千葉の哲学との出会いは高校時代。松岡正剛の雑誌『遊』や浅田彰の存在を知った。

新しいアイデアが生まれるためには環境の有限性が必要。『思考の整理学』で寝ることの大切さを説いている。
行き詰まりの解決方法としては友達としゃべること。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年3月26日
読了日 : 2020年3月26日
本棚登録日 : 2020年3月26日

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