ほとんどの人が、ドラマや小説の中くらいでしか知ることができない刑務所の中。筆者は関係者への丹念な取材から日本の刑務所内の実態を調査し、「囚人とは言え」その人権が蹂躙されていたり、不可解な規律があるなどを糾弾している。
2002年に書かれた本だが、本書で書かれていることが実態なら「これは戦前戦後頃の話なのか」と驚くことが多かった。入浴の手順が細かく決められている、その入浴も毎日ではない、労務中に汗を拭ってはいけない、よそ見(チラッと横を見る程度)もダメでいずれも懲罰の対象になる、などなど。冷暖房がほぼ設置されていないというのも驚きだ。
筆者も「罪を犯した者への懲罰」ということ自体を批判しているのではないことは繰り返し延べている。しかし刑務所の本来の目的である矯正、社会復帰を目指すという理念からは程遠い閉鎖的で人権を無視した実態を批判している。筆者か死刑廃止論者であることも大きな要素に思えた。
本書を読んでいて、ふと「ブラック校則」を思い起こした。かつて程ではなくても、日本の学校の校則は刑務所のような「人権と価値観を無視した」ことがまかり通っている実態が今もあるということを。目的と手段を履き違えた管理者がまだまだ大勢存在しているのでは、と。
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- 感想投稿日 : 2021年9月5日
- 読了日 : 2021年9月5日
- 本棚登録日 : 2021年9月5日
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