けものみち(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年12月19日発売)
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感想 : 70
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注! 思いっきり内容に触れています




松本清張は久しぶり。
なんで久しぶりに松本清張を読んだかというと、TVの「ポツンと一軒家」という番組を見ていたら、司会者が映像にちょっと険しい道が出てくると、すぐ「獣道だ」「獣道だ」と言うからだ(爆)
ただ、「獣道」というのは、本来は獣がそこを何度も通ることで道のように見えるのを言うのだ。
周りの草木がそこに覆い被さって、トンネル状になっているのが普通だから、あの司会者が「獣道だ」と言う道はたいがい普通の道だ(^^;
そもそも、あの番組に出てくる道というのは、ポツンながらも一軒家の住人が日々通っているわけで、そこを「獣道」と言うのはかなり失礼だと思うな(^^ゞ
ていうか、山の中にあきらかに道があるのに「道なき道」と言うのもどうかと思うwのだが、まー、それはそれとして。
つまり、「ポツンと一軒家」の司会者が毎週のように「獣道」と言うのを聞いていたら、そういえば松本清張に「けものみち」というのがあったなーと思い出して。
ふと読んでみたくなったのだ。
な~んて思ってたら、この最初のページに、「けものみち:カモシカやイノシシなどの通行で山中につけられた小径のことをいう。山を歩く者が道と錯覚することがある」と松本清張も書いているじゃないか!
「ポツンと一軒家」は、よく松本清張のドラマをやる放送局の番組だけど、あの番組の関係者は松本清張を読まないんだろうか?←どーでもいいw

そんな話はともかく。
松本清張というと、文章がぶつ切りのせいか読みやすいんだけど、なんだか味気がないというメージがある。
とはいえ、あれだけ書いたんだもん、それはしょうがないんだろうなーとも思う。
ていうか、量もさることながら、アマゾンで松本清張を見ると、こんな感じの小説も書いてたんだ!と驚かされる。
今あるエンタメ小説って、(松本清張が書かなかった本格物を除けば)松本清張が既に全部やっちゃったのものの焼き直しにすぎないんじゃないだろうか?と思うくらいだ
(その辺り、宮部みゆきや阿刀田高等、松本清張ファンの作家に聞いてみたいw)。

そんな「けものみち」だが、これは松本清張にしては小説小説した文章だなーと。読みだして、ちょっと意外だった(^^ゞ
…と言えるほど、松本清張は読んでないんだけど。
とはいえ、個人的にはこういう文章の方が読みやすいので、ありがたい。

この上巻は、主人公が夫を殺すまでが緊迫感があって面白いw
そこまでは、本当に一気に読んだ。
でも、夫が死んでからが、イマイチ面白くないんだよなーw
主人公が夫を殺す夜なんて、読んでいて、その夜の寒さが染み入ってくるような迫力があるのに。
その後は、薄掛け布団だと暑いのに、でも、それをはいで寝てるとちょっと肌寒い夜のような感じ?←意味不明w
それは、下巻の2/3くらいまで続く。
とはいえ、民子が夫を殺して、すぐ下巻のクライマックスでは物語として全然面白くないわけでー。
その辺り、もう一要素、話をからませてくれたら違ったんじゃないかなーなんて。
かの松本清張に恐れ多いことを思ってしまった(^^ゞ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年6月8日
読了日 : -
本棚登録日 : 2021年6月8日

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