トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(上) (Thomas Pynchon Complete Collection)
- 新潮社 (2010年6月30日発売)
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感想 : 21件
伝記小説であり、冒険小説であり、滑稽小説である。北米大陸を横切るメイスン&ディクスン線を引いた(政治的にではなく作業的に)二人の冒険をコミカルに描いた傑作!自注奔放な二人が1763-1767年に引いたM&D線が米国の奴隷制度の有無を分ける境界線となり、その線を挟んだ両陣営は1861年に多くの悲劇を生む戦争を始めることになる。人の営みとは悉く馬鹿で間抜けで皮肉なものであるが、それでも人生は生きてみる価値のあるものだと改めて思わせてくれた。いささか値は張るが読む価値のある一冊(上下2冊か・・・)。また本作をスタートとしてピンチョンの新訳が続々(といっても寡作なので10冊程度)刊行される。楽しみだ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2010年9月14日
- 読了日 : 2010年11月1日
- 本棚登録日 : 2010年9月14日
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