老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2018年12月19日発売)
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●相続放棄からの逃げ遅れ
●親が認知症になってしまったら、後見人は財産を処分するのに、裁判所の許可が必要になり売るのは難しい。そのため他界するまで実家は空き家のまま放置せざるを得なくなるのです。
●家族信託はどうか?
将来、認知症になるかどうかもわからないのに、親の貯金額を聞き出す必要がある。司法書士に支払う報酬は、信託財産の1%、契約書や登記費用などで最低でも60万円以上かかります。家族信託は親が認知症になったからでは利用できないので、成年後見人報酬を払うことを考えると決して高くないですよと言われた。
●「所有者不明土地問題研究会」(増田寛也)の推計によると、所有者不明の土地面積は九州の面積を上回る規模にも上っていることが明らかになりました。
●相続未登記の不動産の問題点。相続人に海外勤務の人がいた場合、印鑑証明の発行することができないため、その国の在外公館に出向いてもらい、領事の面前で署名をしてもらわなければならない。
●所有者不明の不動産は、分譲マンションにも発生している。
●中国四国地方の戸建ての空き家予備軍率の高い市町村に今治市が入っている。
●不動産の場合は、相続放棄をした後でも、次の引継ぎ手が現れるまでは、相続財産の管理をしなければならない、「管理義務」がつきまとうのです。また、家庭裁判所から「先の順位の相続人が相続放棄をしたので、相続権があなたに回ってきました」といった通知をしてくれるわけではありません。したがって相続放棄をする人は、他の相続人にもきちんと状況を知らせて、自分が放棄を選択した理由を伝え、他の相続人が正確な情報をもとに放棄をするかどうか決められるようにすることが重要になります。
★負の動産の押し付け合いである相続放棄をめぐって、新たな「争続」が勃発するのである。
●相続人全員が相続放棄をしたからといってすぐ国のものになるわけではありません。相続財産管理人制度に従った手続きを経て初めて国庫に帰属する。この相続財産管理人を選任されないケースが多く、義務化の検討が望まれている。
●アメリカには、「ランドバンク」と言う組織を設立して、空き家対策をしていると姿が見られます。地域の荒廃を減少させ、放置された空き家や空き地家、差し押さえ物件等を、利用される物件に転換し、課税対象の状態に戻すことを目的とした公的な機関です。
●今後人口の世帯数も減少していく日本では、相続した住宅を住宅として使う需要が減少していくため、デトロイトのように、菜園やコミュニティーガーデンといったオープンスペース型の土地利用への転換について、今後から検討しておく必要があります。
●空き家ビジネス。空き家を探している人は買いたいと言うよりも買いたいと言う人が多く、逆に所有者は売りたい人が多い。賃貸にすると、入居者が居座ってしまうのではないかと抵抗がある人も多い。そこで、空き家のサブリースにも取り組んでいる。東京などの大都市分では、空き家を借り上げて、リノベーション後に、対するサブリース事業を手がける事業者も出てきている。
●市外の所有者向けに、固定資産税の納税通知書に、空き家バンクの案内を同封する等の取り組み。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 法律会計税法不動産
感想投稿日 : 2019年8月5日
読了日 : 2019年9月4日
本棚登録日 : 2019年7月25日

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