金正恩と金与正 (文春新書 1317)

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  • 文藝春秋 (2021年6月18日発売)
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●2020年6月16日。開城工業団地の南北連絡事務所が爆破された。金正恩の実妹、予正(ヨジョン)は「相応の措置を取らないなら、それが金剛山観光の廃止に続いて開城工業地区の完全撤去になるか、北南共同連絡事務所の閉鎖になるか、北南軍事合意の破棄になるか十分に覚悟すべきだ」と警告した。今までの優しいイメージからは想像もできない乱暴な語り口だった。
●正日総書記の子、正哲、正恩、与正の三兄妹のうち、与正氏が最も聡明で知的であると言う評判だった。
●正日総書記は、与正が男だったら、後をつがせるのにと漏らしていた。
●韓国の歌謡曲を聴いて踊った未成年6人に対する公開裁判。当時16歳から17歳。反国家陰謀罪で労働鍛錬刑1年。北朝鮮が禁じた韓国の歌謡曲50曲を聴いて踊ったほか、USBメモリに複製して他人に渡そうとしたと言う罪。
●愛民政治。一般市民とほとんど接触しなかった金正日総書記の行動を反省材料に、逆に市民と触れ合うことを好んで強いカリスマ性を持っていた祖父金日成主席の行動に学ぼうとする政策。
●被災地にレクサスで乗り入れる正恩氏。
●北朝鮮では、最高指導者とロイヤルファミリー、さらには金日成主席と共に戦った抗日パルチザンが貴族階級であり、まさしく家族のような付き合いをしていた。彼らは特別だった。
●正恩氏が建設した閑古鳥が鳴く建造物。海外からの視察者やツアー利用客が訪れる場合に限り、職場や地区の動員をかけて利用者を募りサクラを演じさせる。なぜか入場料等は自腹。
●抗日パルチザンの子孫「赤い貴族」。どんなに能力が劣っていようが、象徴である金日成一族が必要になる。
●正恩氏、正男氏の母親達は、金日成主席から認められてない。正式な婚姻関係ではない。90年代半ばまでは日本韓国は正男氏こそが後継者だと認識していた。
●正恩氏の母親、高英姫氏は在日朝鮮人だったという出自が最後まで負担となった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 地理国際情勢旅行
感想投稿日 : 2021年9月29日
読了日 : 2021年9月29日
本棚登録日 : 2021年9月29日

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