資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

制作 : 梶谷懐 
  • みすず書房 (2021年6月18日発売)
3.94
  • (11)
  • (14)
  • (7)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 381
感想 : 23
4

●著者のブランコ・ミラノビッチは、エレファントカーブと呼ばれるグラフを用いて、近年における先進国の中間層の没落に警鐘を鳴らしたことで知られている。
● 21世紀における高度にグローバル化した資本主義の特徴を「格差」と「腐敗」の拡大にあることを喝破し、またその拡大のメカニズムを「リベラル能力資本主義」と「政治的資本主義」と言う2つの異なる政治経済的な体制ことに、手際よくまとめている。
●グローバリゼーションと経済移民の拡大が、富の再分配をつうじた、資本の集中の改善を妨げている。富裕層が逃げていく。
●政治的資本主義の代表例が中国。
●アンバンドリングという概念。まず第一に、生産と消費が切り離され、先進国の工場が途上国に移転するようになった。第二にICTの発展によって、管理生産も事細かに国際分業することが可能になった。
●市民権プレミアム。ただ先進国の都市に住んでいると言うだけで、人々が受ける大きな恩恵の存在。賃金だけでなく社会保障制度の享受。
●ただそれでも資本主義に代わるような選択肢は無い。だから現在も米中間の対立の縄張り争いは激化する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 金融経済投資家計
感想投稿日 : 2021年10月30日
読了日 : 2021年10月30日
本棚登録日 : 2021年9月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする