誰がアパレルを殺すのか

  • 日経BP (2017年5月25日発売)
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●オンワード、ワールド、TSI、山陽商会、大手4社は売上高が1割ずつ減少し、二人三脚で成長してきた百貨店も、アパレル不振により構造改革を迫られている。百貨店の売上の3割はアパレル。
●しかし何故今なのか?バブル崩壊やリーマンならまだしも、アベノミクスの最中にアパレルだけが不振に喘ぐ。
●アパレル業界が他と違うのは、大量の売れ残りを前提に価格を設定し、無駄な商品を作りすぎている点。市場規模は3割以上減っているのに、供給は倍になっている。
●ユニクロなどファストファッションの強みは、サプライチェーンの全てを把握している点。ただ単に生産拠点を中国にして人件費を抑えれば良いというのではない。しかし大手アパレルはそこだけ真似て、単価だけを下げてきた。
●安く大量に生産できるからと言う理由で、優れた技術を持つ国内の産地や工場を置き去りにし、中国への工場移転を進め、高い技術力のある国内の縫製職人は仕事を失った。
●アパレル企業が「売れ筋を、安く、速く」作ろうとするあまり、商品企画やコンセプトまで外部に丸投げするようになった。ブランド名以外、皆同じような商品になってしまった。
●百貨店は「消化仕入れ」なのでノーリスク。とにかく目新しいブランドを掻き集めるだけ。同じような商品が並び、魅力が低下していく。
●アパレル販売員にはキャリアパスがない、将来に展望がない。客と同年代で揃えたくなると、派遣してもらう方がいい、使い捨ての意識。元々ブラックな職場だったのだ。
●柳井正 過去に「服もコンビニの弁当と変わらない」と発言しました。商品は商品ですから。その感覚が、アパレル業界の人に足りなかったんじゃないんですかね。ファッションは特別なものでなく、他と同じようにお客様がお金を払って買う商品だと言う認識が足りなかった。「商品は芸術だ」と言う、世界の水準から見たらあまりにも高い価格で商品を売っていたんじゃないかなと思います。 
中国の人件費はこれからも上がっていくでしょう。しかしいろいろな国を探しているのですが、中国ほどきっちりと商品を作る国がなかなかない。ベトナム位かなと思いますが他にはカンボジアバングラディッシュとかインドネシア。
長く働き続けることができて、単純労働から知識労働に変わらない限り、企画製造小売業は付加価値を高められない。店のサービスも同じです。それには何年もの経験が入りますから。パートやアルバイトより正社員のほうがいいですよね。
●ZOZO 2006自社物流施設を立ち上げ、全てのサイズを測り直し、異なるブランドの服でも簡単にサイズ比較できるようになった。
●ZOZO 管理サイトが使える。自社在庫管理は当然、他社の商品のトレンドなども分析できる。
●TOKYO BASE 原価率50%国内生産。アパレル業界に大器晩成はない。販売員は、お客さんの服を買う理由の一つになれないと意味がない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経営商売保険営業
感想投稿日 : 2020年7月7日
読了日 : 2020年7月7日
本棚登録日 : 2020年4月5日

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