白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2014年2月20日発売)
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美人会社員が惨殺された不可解な殺人事件を巡り、一人の女に疑惑の目が集まった。同僚、同級生、家族、故郷の人々。
彼女の関係者たちがそれぞれ証言した驚くべき内容とは。「噂」が恐怖を増幅する。果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも―ネット炎上、週刊誌報道が過熱、口コミで走る衝撃、ヒットメイカー湊かなえによる、傑作ミステリー長編。
湊かなえのスタイルは、様々な人の目線からの事実を交錯させることで、人の語る事実がいかに思い込みと真実を増幅させた当てにならない物かを描き出していく中で人間の無自覚な悪意をあぶり出していく物が多いが、今回は美人OL殺人事件の容疑者の周辺の人々の証言を積み重ねることで、事実とかけ離れた悪魔のような容疑者の虚像が作り出され、事実とかけ離れた虚像や悪意が増幅していく展開を通して、自覚しない内に無責任な噂やデマが増幅していくネット社会や現代人の浅はかさを浮き彫りにしています。
ラストの容疑者・城野美姫の「これでようやく私は外に出ることが出来ます。温かい場所に戻ることが出来るのでしょうか?いったいどこへ。そんなところなどどこにもありません。心を殺された私は、あてもなくさまようしかないのです」という一言は、背筋が凍りついた読後感を残します。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年12月5日
読了日 : 2022年12月5日
本棚登録日 : 2022年12月5日

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