グリフターズ (扶桑社ミステリー ト 5-1)

  • 扶桑社 (2006年7月1日発売)
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本棚登録 : 60
感想 : 9
5

グリフターズ―詐欺師たち。口先たくみに人をだまして、小銭を稼ぐ男ロイ。だが、今日は運悪く見やぶられ、ひどく殴られてしまった。ロイが適切な処置をしなければ、彼の命はあと3日…ロイがこんなふうになったのは、14歳ちがいの若い母親リリイの影響だ。
そしてロイには、もうひとりの女性モイラがいる。この3人がLAに集うとき、運命はもつれ、愛憎と欲望はからみあい、先の見えない悲劇が転がりだす…
ノワールの鬼才ジム・トンプソンが放つ、悪党どものドラマ。
ロイとリリィ姉弟といっていいくらいの年齢差の母子の愛憎関係とロイの彼女モイラを加えた三角関係、旅から旅への根無し草の暮らしからの生き残りを賭けた抜け目のない詐欺師同士の生き残りを賭けた駆け引きを、様々な詐欺のテクニック(最初に代金に対して20ドル出してお釣りを受け取った後で代金分を支払い20ドルを返してもらう20ドルという寸借詐欺のテクニックなど)や裏社会の細かなディテールを絡めて、旅回りの営業をやりながらロイがどのように詐欺のテクニックを学んだかなど、作家になるまでは様々な仕事を経験したジム・トンプソンならではの描き込みがあって説得力があり、ロイとモイラのルパンと不二子の駆け引きを彷彿とさせるようなユーモラスな会話の味付けもあって、痛快でドライなノワール小説の傑作です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年12月17日
読了日 : 2022年12月17日
本棚登録日 : 2022年12月13日

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