アイスマン。ゆれる

著者 :
  • 光文社 (2008年3月20日発売)
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本棚登録 : 109
感想 : 21
5

 アイスマンとは、月下氷人から転じた言葉としてタイトルにしている。
 月下氷人とは「仲人」の意味だが、作中での主人公知乃の役割とかけてある。

 あるかきっかけから、男と女を結びつける呪い(まじない)を見つけてしまう主人公知乃。
 実は、それを行うことで自分の命を削る結果になることを、「傀儡」から告げられる。
 友人、家族との絆の中で、様々に揺れ動くこころ。
 まじないを使えることを知り、それが確実に効力を発揮することを知ったことで、友人からの依頼を受け、心が揺れる。
 そして自分の恋心と、友人の恋心を知り、複雑な感情の中で、呪い(まじない)を行う。

 最後はハッピーエンドの形を取っているが、実はよく考えると残酷な一面(おそらくはほとんどの人が意識にのぼらせることを無意識に拒否する)がある。そのことにあとで気がついたときに、虚しさを含む複雑な感情が生じた。黄泉がえりの読後に感じたのとも同じ微細な想い、カジシンならではであろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2012年7月14日
読了日 : 2010年9月18日
本棚登録日 : 2010年9月18日

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