血まみれ観音: 高階良子傑作集 (角川ホラー文庫 601-6)

  • KADOKAWA (1995年4月1日発売)
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本棚登録 : 23
感想 : 2
4

中古店にて¥110で購入。

表題作の他に「地獄でメスがひかる」、「闇におどるきつね」を収録。

「血まみれ観音」は横溝正史の「夜光虫」だが、掲載誌が少女誌という事で例によって主人公の性別が少女に変わり、探偵(由利麟太郎)も出て来ないのはいつもの通り。

原作は未読なので どこまで改変されているのかは分からないが、作品の雰囲気は横溝正史というよりは江戸川乱歩的で冒頭のサーカスのシーンは個人的にはどことなく「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を彷彿させる。

「地獄でメスがひかる」は乱歩の「孤島の鬼」をコミカライズと言うより翻案とした「ドクターGの島」を翻案にした様な印象を受ける。
但し、「ドクターG~」がハッピーエンドなのに対しこちらはアンハッピーエンド。
因みに「地獄で~」が発表された(1973年)約1年後に同じく脳移植をネタにした楳図(かずお)御大の「洗礼」が発表されているのが興味深い。
楳図御大も何かしらの影響を受けたのだろうか?
と、書いたところで楳図御大は1968年のねこ目小僧シリーズ②「みにくい悪魔」で脳移植の話を描いていたので、もしかしたら逆に高階良子の方が影響を受けたのか?

身の回りに起こる怪現象。
あやかしの力によるものだと思いきや、実は主人公が無意識に覚醒した超能力によるものだった。
と言うのが「闇におどるきつね」。
読み切りなのだが怪現象の秘密が明かされただけで話が終ってしまいモヤっとして続きが描かれたのかが気になる。

全体的にいかにも70年代のホラーミステリー少女漫画ではあるがけっして嫌いではない。

尚、講談社の文庫版は「地獄で~」と「闇におどる~」ではなく「真珠色の仮面」「十字架に血のさかずきを」が収録されているとの事。
機会があればこちらも読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 少女マンガ
感想投稿日 : 2020年6月4日
読了日 : 2020年6月1日
本棚登録日 : 2020年6月4日

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コメント 4件

深川夏眠さんのコメント
2020/06/05

お邪魔します~。

「地獄でメスがひかる」も収録されているのですね、
美味しい一冊と申せましょう(笑)。

子供の頃、確かクラスメイトの家で読んだ覚えがあり、
ずーっと後になって古書店で(どの版か忘れましたが)
オリジナル版ではないヤツを買って読み、
更にその後、デジタルコミックでも読みました。
最初は「キャー怖いー!!」だったんですが、
大人になってから読み返すと、
マッドサイエンティストのナルシストぶりがイタイというか、
結構笑えるんですけども。
岡崎京子『ヘルタースケルター』を初めて読んだとき、
序盤で「洗礼」×「地獄でメスがひかる」かな、
なんて思ったものでした(とかいう余談)。
「血まみれ観音」は元の『夜光虫』とは別物として
愉しんだ方がよさそうですが、
おっしゃるとおり横溝より乱歩っぽいテイストになっていますね。

darkavengersさんのコメント
2020/06/05

深川さん、いいね・コメントありがとうございます。

これで、「血とばらの悪魔」も収録されていれば至高ですよね?(笑)

確かにマッドサイエンティストのナルシストぶりはイタイですね。
更にドラッグ中毒というのも医者としてどうなんだ?と思わずにいられません。

言われてみれば「ヘルタースケルター」、「洗礼」×「地獄でメスがひかる」って感じがします。

ところで今月から放送される由利麟太郎のドラマですが「血まみれ観音」じゃなくて「夜光虫」と「真珠郎」はラインナップには入っていないんですね。
「真珠郎」は何度かドラマ化されているので外されたのかもしれませんが「夜光虫」が外されたのは残念ではあります。

深川夏眠さんのコメント
2020/06/05

あら、「夜光虫」はドラマにならないんですね(ちょっと残念)。
実は今、予習のつもりで
リニューアル新刊『血蝙蝠』を読んでいるところです(ぷぷ)。

darkavengersさんのコメント
2020/06/05

今回 映像化されるのは「花髑髏」「憑かれた女」「銀色の舞踏靴」「蝶々殺人事件」の4本だそうです。(「蝶々~」は前後編との事)
視聴率が良ければ続編もあり得るので「夜光虫」の映像化はそちらに期待するしかないですね。

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