中古店にて¥110で購入。
表題作の他に「地獄でメスがひかる」、「闇におどるきつね」を収録。
「血まみれ観音」は横溝正史の「夜光虫」だが、掲載誌が少女誌という事で例によって主人公の性別が少女に変わり、探偵(由利麟太郎)も出て来ないのはいつもの通り。
原作は未読なので どこまで改変されているのかは分からないが、作品の雰囲気は横溝正史というよりは江戸川乱歩的で冒頭のサーカスのシーンは個人的にはどことなく「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を彷彿させる。
「地獄でメスがひかる」は乱歩の「孤島の鬼」をコミカライズと言うより翻案とした「ドクターGの島」を翻案にした様な印象を受ける。
但し、「ドクターG~」がハッピーエンドなのに対しこちらはアンハッピーエンド。
因みに「地獄で~」が発表された(1973年)約1年後に同じく脳移植をネタにした楳図(かずお)御大の「洗礼」が発表されているのが興味深い。
楳図御大も何かしらの影響を受けたのだろうか?
と、書いたところで楳図御大は1968年のねこ目小僧シリーズ②「みにくい悪魔」で脳移植の話を描いていたので、もしかしたら逆に高階良子の方が影響を受けたのか?
身の回りに起こる怪現象。
あやかしの力によるものだと思いきや、実は主人公が無意識に覚醒した超能力によるものだった。
と言うのが「闇におどるきつね」。
読み切りなのだが怪現象の秘密が明かされただけで話が終ってしまいモヤっとして続きが描かれたのかが気になる。
全体的にいかにも70年代のホラーミステリー少女漫画ではあるがけっして嫌いではない。
尚、講談社の文庫版は「地獄で~」と「闇におどる~」ではなく「真珠色の仮面」「十字架に血のさかずきを」が収録されているとの事。
機会があればこちらも読んでみたい。
- 感想投稿日 : 2020年6月4日
- 読了日 : 2020年6月1日
- 本棚登録日 : 2020年6月4日
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