鬼速PDCA

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  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2016年10月24日発売)
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読む前には今更PDCAかと思ったが、大中小とPDCAをリンクさせて、小さなPDCAを鬼速で回すこと、そしてそのやり方や注意点を詳細に記載してくれているので、改めてPDCAの重要性を認識できた。特に、これまでの思い込みでPDCAとは一つの業務に一つのPDCAという誤った認識を改めることができ、小さなPDCAを公私ともに回すことの重要性を理解できた。本書にも書かれているが、気付きだけで終わらせずに、PDCAをしっかりと回していきたいと思う。

・思考が止まりそうなときは、「なぜ」か「どうやって」を自分に問えばいいだけだ。
・人が不安や疑問を感じ、歩みを止めてしまう原因は3つしかない。こうしたことが暖昧なままではモチべーションカカるわけかない。ましてやその状態で大きな障害に出くわしたとき、それを乗り越えるだけのパワーは湧いてはこない。そのときにすぐに上を向いて、歩みを続ける原動力になるのがPDCAだと思っている。
①「自分はどこへ向かおうとしているのか?」(ゴールが見えない)
②「果たしていまの努力は意味があるのだろうか?」(道が見えない)
③「この方法のまま続けていていいのだろうか?」(手段が見えない)
・PDCAを回していれば、計画フェーズでゴールと道のりが明確になる。そして実行の段階で手段が決まる。そして、何回か障害を乗り越える経験をすれば、そのうち課題にぶつかることが楽しくなってくる。
・PDCAを回すと自信が湧き、自信が湧くからPDCAを続けられるのである。とくにPDCAを早い段階で身につけるとPDCA力自体の向上によってレバレッジがかかる。普段からPDCAを回していれば自信がみなぎっているので常にモチべーショは高い。毎朝起きるときも「よし、今日も前に進むぞ|」と思える。ゴールも筋道も手段も明確だから迷いは一切ない。
・PDCAの全体像。
・PLAN(計画)フェーズでは、まず最終的に到達したい山頂を決める。そしてそのゴールはできるだけ具体的であるべきだ。なぜならゴールはっきりすることで現在地とのギャップが明確になり、ギャップが見えれば自分がこの間でなすべきこと、すなわち数々の課題や取るべきルートが見えてくるからである。もちろん、ゴールが遠すぎると「課題」が見えづらいこともある。そのときは明らかに課題だとわかつていることはさっさと着手し、わからないことについては仮説を立て、動さながら計画精度を上げていくことである。現実には完壁な計画が立てられないと実行フェーズに移せない人が大勢いるのである。
・DO(実行)フェーズでは、計画の段階で「課題をクリアするための解決案」が早えているので、実行のフェーズで複数のアクションに分解し、さらにアクションを具体的なタスクレべルに落とし込んで、ひたすら実行に移す。このときのポイントはアクションからタスクへの具体化を、なるべく迅速に行うことだ。具体的なタスクとしてスケジュールを押さえてしまえば、もはややらざるを得ない状況に自分を追い込むことができる。加えて、やることが具体的だと、取り組む意欲が増すという大きな効果もある。
・計画フェーズで失敗する人が5割なら、実行フェーズで失敗する人は3割。その3割のうち、7割くらいの人は、実は抽象的なままアクションを抱え込んで実行に移せていないケースである。
・CHECK(検証)フェーズでは、計画フェーズで考えたルートも課題も解決案も、さらには実行フェーズで考えたアクションもタスクも、実際には仮説にすぎないため、それが最適解であるかどうかの定期的、かつ頻繁な検証が必要になるのだ。こまめに検証を行うことで「実行サイクルの無駄打ちを減らす」ことができるのだ。検証をするときだけはいったん自分の仮説を疑う客観的な目線、つまり「もっと効率的な方法はないのか?」「他にやるべきことはないのか?」「見えていない課題が潜んでいるのでは?」といった問いを持つことが重要になる。実行するときは自信満々で。検証するときは疑心暗鬼で。これがPDCAの基本。
・ADJUST(調整)フェーズでは、通常ACTION(改善)と呼ばれるフェーズである。本書ではDOとACTIONの違いが英語では分かりずらい為、ADJUST(調整)を採用した。検証結果を踏まえて次のサイクルに渡す調整案を孝える。「①ゴールレベルの調整」「②計画レベルの大幅な調整」「③解決案や行動レベルの調整」「④調整不要」の4種類。
・①では、情報収集と自分の現状を検証した結果、ゴールを調整するため、PDCAは中止され、新たなPDCAをまわし始める。
・②では、主にいままで見えてこなかった課題が顕在化したときのようなことだ。この場合も情報収集を一から始めて新たなPDCAを回す必要がある。
・③では、実行サイクルの微修正のことである。やることの優先度を変えたり、方法をブラッシュアップしたりしながら、軌道修正をはかるイメージである。

【計画編】
・過度の慎重さ、過度の心配はPDCAサイクルを遅くする。過度の思慮不足、過度の日和見王義はPDCAサイクルの精度を落とす。よってPDCAを回す人や組織に必要なのは、慎重さと大胆さの中間あたりなのだ。
・ゴールを決める時には必ず、期日を切ること。定量化すること。そして適度に具体的なものにすることだ。期間の理想は1~3か月後くらいだ。
・ゴールを設定する際は、ゴールを因数分解(ロジックツリー思考)し物事を分解すると、より具体的なゴールが複数リストアップされるので、それ毎にPDCAを設定することになる。因数分解で深堀する時の基準は5段目である。ここまでいくとかなり課題が具体化しているので、その後のPDCAがやりやすくなる。
・ロジックツリーでは、要因を見つけるときは「なぜWHY(できないのか?/できたのか?)」を繰り返し、課題や解決策を見つけるときは「どうやってHOW(構成されているのか?/達成するのか)」の問いをすれぱいい。
・.最上端のゴールを分解する1段目だけは、MECEを徹底することを奨励している。さすがにこの段階で「抜け」が発生すると、その下位にくるすべての課題が検討対象から外れてしまうので、最初の計画段階での精度がガタッと落ちるからだ。
・因数分解の上達のコツは、とにかく紙に書き出すこと。形にこだわらず、Gカく思いつくことを箇条書きにするだけでも効果はある。メモ書きは思考プロセスのどこかで無限ループにはまっている状態を抜け出すことが目的だからだ。
・メモ書きを眺めてもまだ混乱しているときは、私は必ずマインドマップを使っていた。鬼速PDCAを身につけられたのもマインドマップであらゆることを分解してきたおかげである。
・ゴールが決まったら、次は現状とのギャップを確認する。
・ゴールと現状のギャップが見えたら、そのギャップを埋めるための課題を考える。ギャップが大きれば大きいほど必然的に課題は増えることになる。課題といっても、自分に足りないことばかりを考える必要はない。自分の得意分野を強化することでギャップが埋められるなら、それも立派な課題である。課題抽出は正確に、かつ漏れなく行うことが理想ではある。鬼速でPDCAを回すにはこの段階でいかに物事を整理し、深い分析ができるかが重要である。ただし、いくら頑張ってもこのフェーズで完全な課題抽出は不可能であり、仮にここで課題を見落としていても、定期的に検証を行っていれば、どこかの段階で「もしかして他に課題があるのでは?」と気づくことができるので、ある程度検討したら、次のフェーズに速やかに移行すべきである。
・人はタスクを同時に抱えすぎるとフォーカスポイントが暖昧になって成果が思うように出せなくなる。よって重要なのは適宜、選択肢をふるいにかけ課題を絞り込み、「やらないこと」を決めると同時に、「やること」について優先度づけを行うことである。
・課題が絞り込まれたら、課題を数値化(KPI)し進捗状況を把握できるようにする。そしてKPIを達成するための解決案を検討する。解決案が複数出た場合には、優先順位づけをする。
・もしその後に修正のチャンスがあるのであれば、解決案に確固たる自信がなくても、さっさと実行に移して検証すればいいのだ。その際はもちろん、仮に仮説が間違っていても、致命傷を負わない程度にリスクを抑える必要はある。保守的な組織や、頭の固い上司の元でPDCAが回りづらいのは、失敗が悪者扱いされているからだ。
・最後に計画を「見える化」する。そして、あらためて「なぜそのゴールを目指す必要があるのか?」、その「背景」つまり上位に位置するPDCAを意識することが大切になる。これを行うことで、無駄なPDCAを回すことがなくなり、自信を持ってリソースをつぎ込める。

【実行編】
・計画が失敗する可能性としては次の3つが考えられる。①計画がない②計画が粗い③計画が無茶。個人のPDCAでは2番目の「計画が粗い」ことが非常に多い。それを象徴するのが読書だ。ビジネス書からたくさんの刺激を受けて、「やっぱり自分ってこのへんが課題なんだよな」とせっかく気ついても、それを具体的な解決案に落とし込まないから9割の人は読んで終わりになってしまう。
・計画編で絞り込んだ解決案を「DO(手段)」に変換する。そして、DOに優先順位をつけて、やることを絞る。
・DOを「ToDo」に落とし込む。QOのTODO化とはDOを実行の際に迷わないレべルまで分解することであり、当然ながら期日設定も含む。TOOO化されたかどう力のひとつの基準はスケジュール帳に書き込めるレべルになっているかどうかである。また5W(WHO,WHOM,WHEN,WHERE,WHAT,WHY)3H(HOW,HOW MANY,HOW MUTCH)に落とし込むと正確さが増す。
・TODOのリストに未完了のタスクが大量に並ぶと、仕事に追われて制御不能になっている「アウトオブコントロール感」が強くなり、精神衛生上マイナスだからだ。その負の要素を少しでも軽滅するために、優先度が低くなかなか着手出来てこなかったタスクは別ファイル(アイスボックス)に分けている。「未完了」が多くなりすぎると必ずといっていいほど、不安になり、モチべーションの低下につながるのだ。
・タイムマネジメントには①捨てる②入れ替える③圧縮するの3つの方法がある。そしてこの順番で行うことがポイントだ。まずは①既存のDOを棚卸して無駄なDOを捨てる。②それでも新しいDOが入らないなら重要・緊急マトリクスを使って比較し入れ替える。③それでもまだ新しいDOが入らないなら毎日行うルーチンを重点的に見直(効率化)して時間を圧縮する。

【検証編】
・検証する対象は①KGI(ゴールの達成率)、②KPI(サブゴールの達成率)、③KDI(行動計画の達成率)の3つである。そして、それらが想定より遅れているのであれば「うまくいっていない要因」を、または順調に推移しているのであれば「うまくいっている要因」を突き止める。実際の検証では、扱うテーマの細かさから言って、検証頻度はKDIもっとも高く、次にKPI、そしてKGIの順になる。KDIとKPIは毎週のミーティング、KGIは月に一回くらい。KDI,KPIの検証によって反省点や課題がより明確になり、微修正をかけることができる。これこそPDCAの真髄であり、そうした微修正の積み重ねが最終的なゴールを実現するのだ。
・KGI,KPI,KDIが予想通りに推移していなかった時の要因を考える。要因分析の基本は「なぜWHY」の繰り返しによる課題の整理である。
・要因を精神面に求めると、なんとく「ひと段落した感じしかして思考が止まってしまうから厄介だ。頑張ることも気合いを入れることも「量」の話であり、モチべーション的には大事なことだが、間違ったことを全力でやられても成果は出ない。
・次にKGI,KPI,KDIが予想通りに推移した時の要因を考える。成果を出すには必ずしも悪いところを直すことたけいいところを伸ばした方が全体効果が大きいこともある。PDCAを回すときは「できなかった原因」だけではなく「できた原因」も分析すべきである。
・日常生活で「なるほど」と思ったことがあれば、どんどん書き留めていくことをおすすめする。それを実際にPDCAとして回すかどうかなど気にしなくていい。あとになっても覚えているだろうとタカをくくっていても、たいてい忘れるのでとにかく反射的に書く。そして、その100個のメそのうち1個でもPDCAを回せば、それは必ず成長につながる。

【調整編】
・調整フェーズでは、検証フェーズの結果を踏まえて対応を検討し、次のPDCAサイクルにつなげていく役割を担っている。これには中止する判断も含まれる。
・調整のレベルとしては、①ゴールレべルの調整が必要そうなもの、②計画の大幅な見直しが必要そうなもの、③解決案・DO・TODOレべルの調整が必要そうなもの、④調整の必要がなさそうなもの、4つのケースに分かれる。
・できなかつた要因についてはHOW「どうやったらできるようになるか?」、できた要因については「どうやったらさらに成果を出せるか?」を考え、書き出すことである。
・検証と調整フェーズで起こりやすいミスとしては、易に判断を下して、絶えずやり方を変えている人は非常に多い。「情報の新しき」を優先度の基準にしてしまうので、いまのやり方を蹟曙なく捨ててしまう。もう一つが、改善点ばかり気にして、伸長案を軽視することである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発
感想投稿日 : 2017年7月15日
読了日 : 2017年7月15日
本棚登録日 : 2017年7月15日

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