「失踪日記」の続編。
作者が生きることに大変苦悩しながら、表現者として、芸術家として、本物であることを証明した本。
本当に大変な経験をしている中、よくぞここまで自分を客観視して、完成度高い漫画にできるなと。
アルコール中毒は、死に至る病気。
これは以前、西原理恵子の本でも、実体験として、心の底からの叫びとして書かれていて、印象に残っている。
アルコール中毒という病気と折り合いをつけながら生きていかなければいけないのは、我々には想像もつかない恐怖であろう。そもそも、アルコール中毒の人は、日常の不安から逃れたいという人が多いと思う、その不安と付き合いながら、アルコールの誘惑からも逃れないといけない。
この漫画は、そんなシリアスな現実も、笑いに昇華してしまう。登場人物たちは、世間とうまくやっていけないアウトサイダーだが、だからこそ人間らしく、活き活きとしているように見える。(実際は、もっと過酷なんだと思うが。)
ある意味、吾妻ひでお自体がそちら側にいたからこそ、一定の共感、仲間意識をもっている。また、批評意識が高く、人をクールに観察していること(客観性をもっていること)の両面がうまい具合に交じっているから、ここまで、エンターテイメントに表現できるのだろう。
つげ義春がギャグ漫画かけたら、こんなだっただろうなという印象。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年9月12日
- 読了日 : 2017年9月10日
- 本棚登録日 : 2017年9月9日
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