10年後に食える仕事、食えない仕事

著者 :
  • 東洋経済新報社 (2012年2月3日発売)
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10年後に食える仕事、食えない仕事 単行本 – 2012/2/3

本書によって正しい航海図を持とう
2012年2月6日記述

マイニュースジャパンの編集長である渡邉正裕氏による最新著作。
タイトル通り経済のグリーバル化によって日本人の雇用がどうなるかを示している。

新聞、ニュースまたは多くの識者が指摘するように経済のグリーバル化に伴い日本の雇用が減っていくとことは多くの人が認識していると思う。
(本書内でも示しているがコールセンタースタッフや計算事務員など単純事務作業は中国大連で代替可能になってきており今後働く場として厳しいので避けるべきだ)

ただこれまでは具体的にどういった職種、どの職業に悪影響が出るのかまで細かく解説した書籍もなく、そのことを感覚的に捉えていただけではないかと思う。
本書はマトリックス化した図を使いそれを明確に示し明瞭な解説をしている。
その中でBlue Ocean(青い海)を目指すべきであると。

**ただ個人的に銀行の営業や住宅の営業などジャパン・プレミアムとされる分類は確かに外国人の参入障壁は高いと思うけれども、その大量採用大量離職などの労働実態を知る者として果たしてブルーオーシャンと呼べるのか疑問に思うものもあった。これではJRの鉄道職の方がよほどマシではないのか?
それにグローカルエリアと分類される弁護士も法科大学院による合格方式に変更され合格者増加に伴い競争激化も進行しており、違和感が残った。
本書内のブルーオーシャンの中のジャパンプレミアムとグローカルを盲目的に目指しても成功できるわけでは
ないと認識するべきだ。逆に営業活動に強い人が銀行営業、住宅営業、弁護士となれば大活躍可能だろう。

まえがきにも著者である渡邊氏が指摘するように誰もがMBA取得し英語を必死に勉強するということが
有効な対策ではない事を理解した上で自身の特性を活かすべきなのだ。
特に汎用品化していく無重力の世界と分類される(インド、中国等の影響をモロに受ける)業種を避け
あるいはそこから脱出し日本人の強み(インド、中国にはない会社組織に蓄積される集合知など)を組み合わせ、新興国が簡単には新規参入できない製品、サービスを展開し生き残る事が日本企業に求められていると説いている。
このことはサムスンやLGとの闘いに苦しむに苦しむメーカー郡に対しての方向性を明確に示していると思う。

また6章の雇用創出へ向けた渡邉正裕氏の政策提言は必見である。
民主党、自民党の代議士だけでなく若手〜ベテランの官僚の方々にも是非読んでいただきたいと個人的に思った。

無国籍ジャングル人材の優遇
イノベーションを積極的に起こすための規制緩和(他業種企業による農業参入など)、
負の雇用貢献税(雇用を国内に残す企業への減税措置)
単純労働者はギリギリまで受け入れない・・

もちろんこれだけで日本の問題が解決するわけではないが、これからの日本に必要且つ有効な雇用対策になるはずだ。

最後になるが本書は決して万人に対して70億人との闘いをすすめるような非現実的内容ではなく極めて実践的である。
自身のできること、能力を十分考慮に入れて仕事を選ぼう。そして日本人の強み(匠、チームワークなど)を認識し新しい付加価値のあるものを生み出していこう・・淡いが、はっきりした希望が見えてきたと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年10月30日
読了日 : 2021年12月6日
本棚登録日 : 2021年12月6日

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