アトレイデ家の最後の生き残りポールとその母ジェシカ。砂漠の民フレーメンに身を隠す。全長400mにもおよぶワームの襲撃を逃れながらの灼熱の砂漠の逃避行と、大スペクタクルの連続です。
でも、今回のテーマは異文化との衝突。水が全ての起点となるフレーメンにいかに受け入れてもらえるか。ポールとジェシカの適応しようとする姿がすさまじい。過酷な環境では死者の体の水分までが社会の共有資源としてリサイクル・配分されます。そのような根底の違いを、気持ち悪いとか一方的な善悪の判断によって断罪して自分の世界を押し付けることをせず、違い・文化として尊重することから理解が始まっていく姿を描いていきます。これこそが、真のグローバルな思想ではないでしょうか?最近読み返した「火星年代記」は人間って、そもそもそういううことができないオロカな生き物なのよねって哀しみをこめて描いているのと対照的で、興味深いです。
設定は惑星級ですが、このような文化や慣習の衝突は、国家間の関係から、友人、夫婦間の関係にいたるまで日常でもあふれているわけで、いまさらながらハッとします。
再読して良かった。これは傑作!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2012年8月14日
- 読了日 : 2012年8月14日
- 本棚登録日 : 2012年8月14日
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