高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

  • 早川書房 (1984年7月31日発売)
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本棚登録 : 2998
感想 : 205
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ディック祭り第3弾!

第2次大戦でドイツと日本が勝利した世界。その世界の人々をリアルに描いているところまでがかろうじてSFと呼べるか。でも、ディックが描きたいのはそんなことではない。現実ですら苦しいことも多い世の中、じゃぁ全く逆だったらどうなのかという設定にはなっていいるけれども、明るい世界が広がっているわけでもなく、やっぱり描かれるのは「不安」。

相手の気に入らなかったら・・・偽物と見破られたら・・・そもそも本物って何・・・もう不安だらけ。その不安だらけの日々の道筋を示すために卦が用いられる。こういう小説に惹かれるってことは、自分の「今」が不安だらけだからなのだろうか。

ディックの小説を読んでも何も解決しないし、すっきり爽快感もない。でも、共感する不安な部分に気づく。それで、また読んでしまう。凄い!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2013年9月30日
読了日 : 2013年9月30日
本棚登録日 : 2013年9月30日

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