「たとえば現在、東京の大新聞は何れも水道からみみずが出るということについて、大袈裟に書きたっています。どの新聞を見ましても、それが最も重要な記事なっている。(中略)しかしこれに一体どれだけの社会性があるのでしょうか。何が重要で、数日に渡ってこんなことが東京の大新聞のタップを飾りうるのでしょうか。」(現代ジャーナリズム批判)
「水道水からみみずが出る」という部分をさしずめ「うなぎの産地が偽装である」とでも変奏すれば、そのまま21世紀の日本のジャーナリズム批判になりうる文章である。全編がこの如く現在に通用する、いやむしろ現代人こそ傾聴しなければならない哲学に溢れている。
半世紀以上も前の日本にこれだけ地に足の着いた思考をもった知識人があった事実を、我々は今一度噛み締めるべきだし、そうすることによって彼の鳴らした警鐘が如何に空しく響いたかについて思いをめぐらせて欲しい。
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- 感想投稿日 : 2013年12月23日
- 読了日 : 2008年8月6日
- 本棚登録日 : 2013年12月23日
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