いや、なかなか筆舌に尽くしがたい夫婦の形である。ともに詩人、小説家というと、もうそれだけで互いの自我が張り合って壮絶な夫婦関係を想像しがちだが、実際のところはともかく本書の中では二人の衝突というよりも、長吉が外部の世間と常に衝突しあらゆる知人友人親戚関係者を傷つけ、自らも病を得てボロボロになる姿を至近距離から克明に追っている。時にほうり出し時にはまた丁寧にケアする妻の視点からは毒よりもユーモアが勝って、ところどころ吹き出してしまうような場面も多い。一定の年齢になると常に「大人」としての振る舞いを求められる現代だが、こういう自由でありながら、自分の中では何かに雁字搦めになっているような不思議な生き方もあるのだと気づかせてもらった。
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- 感想投稿日 : 2023年9月18日
- 読了日 : 2023年9月15日
- 本棚登録日 : 2023年9月15日
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