戦都の陰陽師シリーズ最終作。本シリーズに期待しているのは陰陽師&忍者vs妖怪という特殊バトルだったのに、案に相違して味気ないものが続いていたが、本作は前作の完全な続きから始まるためか状況は逼迫しており、なかなかに読み応えある展開が続き最終作としては満足した。そもそも、この装丁にこの設定と聞けばもっとエンタメな感じを期待していたのが間違いで、読み終わってみると織田信長が台頭する前の混沌とした奈良、松永久秀という男の史実をうまく絡めて、柳生父子、葦姫、果心居士などの人物の配置も良く考えられている。シリーズ全体としても光子の足跡に史実や意外な人物を関連させたりと実は凝っているのだが、これが玄人好みとしか言いようがない出来で、この装丁だと本来のターゲットを捉えられないし、ライトな感じを期待する読者からは失望されるような気がして二重に残念だった。本来の意味での陰陽師(大げさな術は使わない)や忍者(山田風太郎とは違う)を読みたい、そして、戦国時代の風俗を知りたいという人には諸手を上げて推薦しよう。
読書状況:読み終わった
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本
- 感想投稿日 : 2014年11月26日
- 読了日 : 2014年11月21日
- 本棚登録日 : 2014年11月24日
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