昨年、自分の兄に子どもができた。甥っ子である。赤ちゃんを見ていると本当に「野生」である。
生きるために泣き、食べ、遊び、学ぶ。それがいつの間にか親に、社会に「飼いならされて」しまう。
何も外を走り回るだけが野生ではない。絵や音楽なども立派な「野生の才能」だと思う。問題はそれを「好き」で自主的にしているか、それとも言われるがままに強制的に、怒られるのが怖く「嫌々」し続けているのかではないか。
好きならば失敗しても、また挑戦したくなる。嫌々なら失敗することも怖くなる。
本当に「好き」かどうかを考えるのも、ある意味自分のなかの「野生」の確認ではないだろうか。
自分も会社に入り、いきなり一つの仕事を任された。無我夢中で取り組み、結果が出たときはうれしかった。そして「面白かった」。だから仕事が「好き」になった。
しかしそれはビギナーズラック。次第に「慣れ」が心のスキを生んで、手を抜こうとする。当然結果は出ないことの方が多い。
失敗しても一生懸命取り組んだことは、次々と反省点が思い浮かぶ。
みんな「失敗」することを怖がっている。企業も、社会もまずは、「失敗」させることからはじめる方がいいのではないか。
それと甘やかす意味ではない「好きなこと」をさせることではないか。
安藤さんの言葉は無骨で厳しい。ぐだぐだ言わない。
安藤さんの建築物も、コンクリート打ちっ放しで、シンプルで時には寒々しい。
でもこの無駄を落とした「シンプル」さが、周囲の自然と調和し、美しさを生み出す。
言葉を受け取る側にも、「野生」がないと、その中にある「あたたかさ」に気づかないような気がする一冊でした。
失敗と反省の繰り返しが「野生」を取り戻すために必要です。
- 感想投稿日 : 2013年12月18日
- 読了日 : 2013年12月18日
- 本棚登録日 : 2013年8月6日
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