嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2012年6月28日発売)
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ポーランド人、チェコ人、ハンガリー人、ルーマニア人が東欧と括られるのを嫌うことや、「東」という言葉が持つ意味、などが語られていて、このあたりは脱亜入欧を目指した日本人には理解しやすい感覚のような気がします。
主人公の同級生がまさにそういう地域に見を置き、社会主義や民族紛争を実際に経験して描写される現実は生々しく感じられます。歴史の教科書では俯瞰した事実が記されていますが、本書は生身の人間が現場の空気から感じる現実を描いています。
民族、文化、宗教が個人のアイデンティティの源でもある反面、それらがもとで起こる紛争。この違いを受け入れ、乗り越えられるものは何かを、それぞれ異なる人種の3人の「友人」を探すことで、一つの道筋を示しているようでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年9月17日
読了日 : 2020年9月16日
本棚登録日 : 2020年6月28日

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