アメリカーナ 下 (河出文庫 ア 10-3)

  • 河出書房新社 (2019年12月6日発売)
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感想 : 12
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愛の物語であるとともに、
主人公の成長、
すなわちアイデンティティの確立が語られる物語。

なぜ二人は外国に行かなければならなかったのか。
純粋に愛し合い、魂も美しいというのに。
それは、国内にいたままでは
自分で立つことができるほどの力はなく、
やがてナイジェリアに飲み込まれてしまうことになっただろうから。
それぞれが異文化の中で生きることで、
外国の醜さを感じつつも、
アメリカやイギリスという「個人」で生きることに触れて、彼らの魂も「自分自身」を形作っていくのだ。
やがて彼らは母国へと帰ることになるのだが、
それは敗北や逃避、あるいはただの郷愁ではない。
なぜなら帰国しても違和感を覚え続けたから。
それはアイデンティティが確立したからこそ、
もうナイジェリアという母性に飲み込まれることなく、
ひとりの人格として生きることになったからだろう。

美しい愛に、深みまで持たせた見事な物語。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月10日
読了日 : 2021年11月10日
本棚登録日 : 2021年11月10日

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