走ル (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社 (2010年11月5日発売)
3.14
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本棚登録 : 372
感想 : 41
5

羽田圭介の出版作品として3作目にあたる作品。

東京八王子に住む、高校二年生で、陸上部に長距離ランナーとして所属する
本田は、小学生のころにもらって放置していたイタリア・ビアンキ製の
ロードレーサー(競技用自転車)を見つけ、そのままでは乗れないので自力で整備し、
次の日の、学校での朝練に向けて自宅の八王子から朝練が行われている皇居まで
数時間かけて向かった。そこで、朝練終わりになんやかんやあって、
自転車にて北上を始めることにる・・・。

自転車ロードムービー的な作品でありながら、主人公・本田の心情と友人との
携帯メールでのやり取りなど、どちらかと言えば、主人公・本田のストイックな
アスリート的な気質が相まって、どこまでも北上していってしまいます。
そんな本田の行動を追従し、読者も何となく一緒に無心に自転車に乗って
北上している感覚を味わえるかもしれません。
友人に彼女に学校や部活のことを考えながらも、北上を続けてしまう心理描写が
自転車で旅をするぞ!!というロードムービー的な作品とは一味も二味もちがう
作品になっているので、読んでいて、応援したくなる感情と、早く帰れよ、と
促したくなる感情とで、先どうなる、と純文学のはずなのにエンタメ的な
感覚で読んでしまっている自分がいました(笑)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年6月10日
読了日 : 2023年6月10日
本棚登録日 : 2023年6月8日

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